EV、リチウムイオン電池、太陽光パネル…「過剰生産問題」を非難する先進国に中国が“開き直り”を決め込む「4つの理由」
4)トランプ時代が本番
今年に入ってからの中国外交を見ていると、来年1月に訪れるかもしれない「第2期トランプ時代」に備えていることが分かる。何と言っても習近平政権にとってみれば、バイデン政権は「恐くない政権」だが、トランプ政権は「恐い政権」なのだ。 それはひと言で言えば、バイデン政権の政策は予測がつくが、トランプ政権の政策は予測がつかないからだ。ゴリゴリの社会主義政権である習近平政権は、万事が予定調和的である。そのため、予測不能なアメリカの政権ほど恐いものはないのだ。 それで、「備えあれば憂いなし」とばかりに、準備を始めているのである。例えば、「戦狼(せんろう)外交」(狼のように戦う外交)を一時封印して、「微笑外交」を始めたことなどだ。 過剰生産問題に関しては、いまここで譲歩したら、来たるトランプ政権になれば、どこまで譲歩を迫られるか分からない。そのため、貿易摩擦の「本番」に備えて、いまは強気を崩さないというわけだ。 以上、4点を指摘したが、中でも不動産問題の行方が気になるところだ。万が一、「中国版リーマンショック」が発生したら、中国が最大の貿易相手国である日本も、無事でいられるわけがない。(連載第731回)
近藤 大介(『現代ビジネス』編集次長)