“マザーキラー”と呼ばれる子宮頸がん 39歳で余命半年の宣告「現実として受け入れられなかった…」
「本当に最高の妻でしたね。最高のパートナーであって、最高の親友であり、よき理解者でした」こう語るのは、バルーンアーティストのタロウさん(48)。 タロウさんの妻・ヤスコさんは10年前、末期の子宮頸がんで亡くなった。まだ41歳だった。 生前、ヤスコさんは「人を笑顔にしたい」と夢を語っていたという。その夢を引き継ぎ、タロウさんは様々なイベントでバルーンアートを作り人を笑顔にする活動をしている。
突然の余命宣告 「現実として受け入れられなかった…」
2人は4年の交際を経て結婚し、幸せな生活を送っていた。ある日、ヤスコさんの生理による出血が止まらなくなった。病院を受診したところ、子宮頸がんのステージ4B、余命は半年と宣告された。すでにヤスコさんの体は、がんに蝕まれていたのだ。二人ともすぐには現実と受け入れられなかったという。
余命1か月 諦めかけたときに起きた”奇跡”
ついに余命が1か月と言われた時には、がんはすでに脳に転移していた。そして、意識が戻らなくなってしまった。もうダメかと思ったとき”奇跡”が起きた。ヤスコさんの意識が戻ったのだ。 ヤスコさんはうまく話をすることはできなかったが、タロウさんはその様子を必死に目に焼き付けた。「ヤスコのどんな些細なことも逃したくなかった」とタロウさんは話す。 タロウさんは片時もヤスコさんのそばを離れなかった。寝ることなく、ずっとヤスコさんの手を握って「あの時、こんなことがあったね」と二人の思い出話をヤスコさんに話していた。もう一度目を覚ましてくれると信じて。 しかし願いは叶わず、ヤスコさんは41歳の誕生日に天国へと旅立った。
毎年2900人が命を落とす”マザーキラー”
ヤスコさんが命を落とした子宮頸がんは、主にHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染して生じるがんだ。子宮の出口である頸部近くにでき、発症率は20代から増え始め、30代後半にほぼピークに達する。 出産適齢期や子育て時期に発症する可能性があることから、別名「マザーキラー」と呼ばれていて、日本では毎年1万人以上が罹患し、このうち約2900人が命を落としている。