“マザーキラー”と呼ばれる子宮頸がん 39歳で余命半年の宣告「現実として受け入れられなかった…」
“88%リスク減” 高い予防効果のHPVワクチン
子宮頸がんの予防に有効なのが「HPVワクチン」だ。日本では2013年から定期接種となっており、小学6年から高校1年にあたる年齢の女性が無料で接種できる。 HPVワクチンの効果については研究が進んでおり、10~16歳でワクチンを接種すると、接種をしていない人に比べて子宮頸がんになるリスクが88%減少するという研究結果もある。また、予防効果は20年以上続くとも言われている。つまり、定期接種を受ければ、出産を考える時期まで予防効果が続くことになる。
遅れる日本のワクチン接種
ただ、日本では接種が進んでいないのが現状だ。2019年時点での接種率は、カナダが83%、イギリスが82%、オーストラリアで79%と高い接種率の国がある一方で、日本は1.9%。近年、日本でも接種率は上がっているというが、それでも3割には満たないと言われている。 その要因は、HPVワクチンをめぐるこれまでの経緯が関係している。2013年4月にHPVワクチンは日本で定期接種となった。しかし、接種後に手が震えるなどの症状の報告が相次ぎ、厚労省は一時、積極的な接種の呼びかけを中止した。このことがきっかけで、ワクチンの接種率は大きく低下した。 その後、安全性と有効性が改めて検証され問題はないとして、厚生労働省は2022年4月に接種の呼びかけを再開したが、接種率の上昇は限定的である。 懸念する声が根強い副反応については、調査が進んでいる。今年1~3月までにワクチン(9価ワクチン)を打った人のうち、副反応疑いがあった人は42万人(のべ人数)のうち8人で、割合は0.0019%。医療機関や企業で女性特有の健康課題について取り組みを行っている元名古屋大学教授の内科医・柴田玲さんは「世界中でたくさんの人が接種しており、安全性についてのエビデンスはかなり増えた。2013年のころに比べると安全性がより担保されているので、ずいぶんと安心して打てるワクチンになったと思う」と話す。ちなみに、一生のうちに子宮頸がんを発症するリスクは1.32%である。