開催中止 「悔しさ 夏にぶつける」 加藤学園、苦渋の決断に理解 /静岡
<センバツ高校野球> 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の中止が決まった11日、出場を決めていた加藤学園(沼津市)のナインの中には、突然の夢の舞台の終幕に涙ぐむ選手もいた。春夏通じて初の甲子園出場に周囲の期待も大きかったが、米山学監督(41)は運営委員会の苦渋の決断に理解を示し、「自信を持ってまたチームを作ろう」と選手たちを励ました。【池田由莉矢、石川宏】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 「次に向かって頑張ろう」。米山監督は午後6時過ぎ、選手をグラウンドに集めてセンバツの中止を伝えた。真剣な表情で耳を傾けていた選手たちだが、集合の輪が解けると涙を拭う選手もいた。勝又友則主将(2年)は「正直に言えば、甲子園に出たいという気持ちがあった」と唇をかんだ。 この日の練習は午後0時半ごろに始まり、部員全員が「92nd 2020 SEMBATSU」と書かれた特製の赤い練習着を着用した。野球部OBで、プロ野球の西武・高橋朋己選手から贈られたもので、ナインは気持ちを高めてノックや紅白戦に臨んでいた。 政府が2月28日に小中高全校の臨時休校を要請した後、加藤学園は公式大会を控えた部活の活動だけを認めていた。センバツを控えていた野球部は時間を短縮して練習を継続。4日にセンバツの無観客開催の方針が示され、安心した表情を見せる選手も多かった。 ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に終息の兆しは見えず、政府は3月10日に大型イベントの自粛要請を10日間延長した。そんな中でのセンバツ中止決定だった。 報道陣の取材に応じた米山監督は「今回の決断について何も言えない。いろいろな角度から判断した結果。誰のせいでもない。生徒とともに次に向かっていくしかない」とセンバツの運営委員会の決定に理解を示した。 甲子園に出場できる機会は夏に持ち越された。米山監督は「やってきたことは何も駄目ではない。センバツをつかんだことを自信にして、皆で切磋琢磨(せっさたくま)して、夏の甲子園に出られるよう良いチームを作っていきたい」と前を向いた。 勝又主将は目に涙をためながらも、「夏までのチーム。今日の経験で甲子園に行きたい気持ちはどの高校よりも強くなった。悔しさを夏にぶつけて練習をきっちりやりたい」と再スタートに向けて決意を新たにした。