大城のぼるの夢とエニグマ。/執筆:川勝徳重
この漫画の中で登場人物たちは「夢」の中で満州大陸へ行きます。そして作者自身である大城のぼるも、この作品を描いたあと満州大陸に渡り、敗戦を迎えます。満州では大変な苦労をされたそうです。これまでも漫画の中で、予知夢としての「夢」を描いてきた彼ですが、その「夢」はついに物語を超えて、自分の人生にまで影響を及ぼすようになる……。大城のぼる作品は、一見すると可愛らしいキャラクターが描かれた子供向けの漫画ですが、そこには異様な、悪魔的な何かがあるように思えてならないのです。
プロフィール
川勝徳重 かわかつ・とくしげ|1992年、東京生まれ。漫画家。著書に『電話・睡眠・音楽』『アントロポセンの犬泥棒』『痩我慢の説』(いずれもリイド社)。現在、戦前の児童漫画叢書ナカムラ・マンガ・ライブラリーの長編評論『夢と重力』執筆中。2025年にまんだらけ出版より刊行予定。 text: Tokushige Kawakatsu, edit: Ryoma Uchida
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