中上貴晶「久々に楽しかった」。Q2ダイレクト進出逃すも日本勢トップにつけ新エアロは「良い兆し」と意欲/MotoGP第16戦日本GP
10月4日、2024年MotoGP第16戦日本GP 初日のセッションが栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はプラクティスを日本勢最上位の12番手で終えている。 【写真】中上貴晶(ホンダ・イデミツLCR)/2024MotoGP第16戦日本GP いよいよ幕が開けた年に一度の日本GP、2024年シーズン限りでMotoGPフル参戦を終了させる中上にとって今大会は非常に大切なものとなる。10月3日の木曜日の行われた会見で「シーズンを通していちばんの結果を残したい」と語った中上は、初日から渾身の走りを多くのファンに披露した。 ■好発進決めるも、わずか0.049秒差で予選Q2ダイレクト進出逃し悔しさ滲ませる もてぎは朝から小雨が降っていたものの、10時45分にスタートしたフリー走行1回目はドライコンディションで開始。中上はスリックタイヤでコースインし、早々に1分46秒223を叩き出して一時トップにつけ、さらにその後も0.186秒更新して見せた。 すると、開始15分ほどで雨脚が強まり、全ライダーが走行を見合わせる展開に。一時的に雨が止むとライダーも走行を再開するが、セッションを通して降ったり止んだりと不安定な天候に見舞われ、計測ができず不完全燃焼なものとなった。中上も数周のみの肩慣らし走行となったが、12番手と今シーズンにおいては好調なスタートを切った。 午後にかけても曇天に変わりはなかったが、雨は降ることなくドライコンディションで終始セッションが進んだ。中上は早々からFP1のタイムを上回る1分45秒070をマークし、自己ベストを更新。さらに終盤には新品タイヤを装着し、1分44秒258まで縮めることに成功させた。 午前に数周しか走ることができなかったこともあり、午後には25周と多くを周回した。その結果、最終的には自己ベストを更新し、トップから1秒と以内につけている。今シーズンにおいては非常にいい走りだしとなったが、予選Q2にダイレクト進出ができる10番手とはわずか0.049秒差と非常に僅差で逃す結果に。悔しそうな表情を見せてい中上は、次のように初日を振り返った。 「FP1は難しいコンディションでした。コースコンディションはドライでしたが、場所によってはクリッピングポイントが湿っていて、雨が降ったり止んだりで最初の4~5周くらいしか走ることができませんでした。午後も天気が読めませんでしたが、運よくドライで走れて、午前の第一印象から着実に良くなっています」 「バイクとのフィーリングは良く、安定しているし、止まれるし、無理してもエイペックスにつけているので、タイムは稼げています。コーナーの立ち上がりで、もう少し加速してほしいという改善できる感覚があり、まだコンマ2~3秒は多分稼げると思います。タイム差を見ると悔しいですが、別の意味ではいい走りができたので久々に楽しかったですね」 ■日本GPで見えた新エアロパッケージの可能性と課題 初日は好発進で嬉しさもあり、僅差でダイレクトQ2進出を逃したものの、中上はこの日本GPで嬉しい発見もあったという。今季において、コンセッション(優遇措置)の対象となるホンダは、終盤戦においていくつかの新パーツ導入やアップデートを施している。 エミリア・ロマーニャGPではミサノ公式テストで初めて使用された新しいエアロパーツ、前戦インドネシアGPでは新しいフェアリングが導入され、中上を含めたホンダのライダー全員がポジティブな印象を語っていた。そのアップデートを施した状態で日本GPにも臨んでいるが、今回もいい方向に働きが得られているという。 「新しいエアロパッケージは機能していると思います。旋回性はいいですが、リヤのスピニングが大きくウイリーが多いです。今回はHRCの方がたくさん来てくれているので、エアロの担当の方といろいろ話したいです。エアロが変わって、どのセッションでも少し順位が上がっているので、それは良い兆しです。ターニングポイントにはなっていますが、まだ課題は残っています。でもひとつずつ潰していっている感覚はあります」 ホンダにとっても母国GPとなるため、エンジニアやメカニックなどを増やし、HRC総動員態勢で今回の日本GPを戦っているようだ。まだ、立ち上がり時に課題を残しているというが、中上や他のホンダライダーたちの意見も加わることで、さらに今後の可能性と進化も期待できるかもしれない。なので、日本GPを含め、アジアラウンドでの彼の走りに期待したいところだ。 また、取材に応じた中上は「応援をすごく感じますし、やはり母国っていいなと感じていて、毎周楽しいです。それはやっぱりもてぎだけですし、特別なグランプリだなと改めて感じます」ともコメントもしていた。 彼にとってフル参戦最後の日本GPとなるが、10月5日の予選では今季初の予選Q2進出も見える位置につけている。現地を含め、中継で見ているファンの方々は、彼にたくさんのエールを送り届けてほしい。 [オートスポーツweb 2024年10月04日]