健康長寿のために…3人の名医が実名で明かす"一日の献立" 「朝ヨーグルト」「魚は焼くより煮るほうがよい」
■中高年世代は昼食を“食べない”選択肢も
遠藤氏がカレーと並び、頻繁に口にするのが、シークワーサーだ。 「シークワーサーに含まれるノビレチンは、神経細胞の突起を増やす効果があり、脳神経によいといわれています。沖縄県が他県より認知症発症率が低いのは、シークワーサーの影響ではないかと、今も研究が進められているほどです」(同) 現在は少し大きめのスーパーに行けば、シークワーサーの果汁100%で作られた原液が売られているので、これを使えば、手軽に自宅で利用できる。 一方、あえて昼食を食べないのが、前出の秋津氏だ。 「もちろん、肉体労働者など日中に体を動かしている人は食べたほうがいいんですが、普通の人は無理に食べる必要はないと思います。 特に、中高年世代は、朝昼晩にしっかり食べると、消費カロリーよりも摂取カロリーが上回って、肥満や糖尿病などの生活習慣病のリスクになります」 より健康を意識するならば、近年流行中の“16時間断食ダイエット”に挑戦してみるのも手だという。 「胃腸を長時間、休めることで糖尿、高血圧、高脂血症などの予防になると言われています。断食と聞くと、何も食べないと思いがちですが、そうではなく、朝はヨーグルトにし、昼食を抜くだけでも同様の効果が期待できます」(前同)
■魚は焼くより煮たほうがよい
最後は、1日を締めくくる“夕食”。ここは、タンパク質の摂取がカギになる。 「日本人の食生活で、最も不足しているのがタンパク質です。私が診療している高齢者の多くは、血液中のタンパク濃度が低く、筋肉が衰えて、骨がもろくなっています。転倒時に骨折するリスクもあるので、そうならないために、日頃から魚や肉を食べましょう」(岡田氏) そこで岡田氏が薦めるのが、しゃぶしゃぶだ。ポイントは調理法にある。 「100度を超える高温調理だと、肉の成分が発がん性物質に変わります。また、炭火の焼肉、燻製ベーコンなどは煙に含まれるダイオキシンという発がん性物質が付くので控えたいところ。その点、しゃぶしゃぶは高温調理ではなく、煙もつかないので、健康的にタンパク質が取れます。たっぷりの野菜や豆腐と一緒に食べれば、栄養のバランスもよく、理想的な健康食です」 遠藤、秋津の両氏は、タンパク質の補給として魚料理を“愛食”している。遠藤氏は海鮮丼だという。 「アジ、サバ、マグロ、カツオ、サンマなどの青魚には血管を健康にし、脳によいとされる栄養素のEPA・DHAがたくさん含まれています。加熱調理をすると栄養素が壊れるので、新鮮な刺身の状態で食べるのが理想です」(遠藤氏) 魚を刺身以外で食べるなら、焼きものより煮ものを食べるほうがよいという。 「魚の頭の部分はEPA・DHAが豊富で、特に、目玉や骨の周辺に栄養素が集まっています。その部分を余すことなく食べるには、焼きものより、煮ものが適しています」(秋津氏) また、秋津氏の夕食例にある蒸した里芋(きぬかつぎ)にも注目したい。 「塩分を控えたい人は、素材そのものの味が生きて、薄味でもおいしく食べられる、蒸し料理がオススメです。加えて、イモ類は食物繊維が豊富で、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖も含んでいるので、腸内環境の改善になります」(前同) ここからは名医が太鼓判を押す健康食材を、いくつか紹介しよう。まずは日本が誇る健康食材の豆腐だ。 「大豆は、良質な植物性タンパク質と食物繊維の両方がとれる理想の食材。日本人の健康寿命が世界トップクラスなのは、大豆をたくさん食べる日本古来の和食が健康によいから、と言っても過言ではありません」(岡田氏) さらに、豆腐に含まれるマグネシウムには突然死を遠ざける働きもあるという。 「マグネシウムは体温、血圧、ホルモン分泌の調整や、筋肉の働きなどを助けます。 国立がん研究センターなどの共同研究で、マグネシウムを多く摂取している人は、心筋梗塞の発症リスクが3~4割低いことが分かりました」(秋津氏)同じく、大豆を使った納豆も健康の強い味方だ。 「納豆に含まれるナットウキナーゼに血栓を溶かす働きがあり、脳梗塞などの予防になります。減塩のためタレを使わず、シラスやかつおぶしなど、うま味成分が強い食材と和えて食べるとより健康的です」(前同)