7連覇の米国に完敗も日本女子バスケット代表が手にした銀メダルの価値「試合ごとに違う選手が活躍するスーパーチーム」
「いまの自分にできるすべてを、このコートに置いてこようと思って臨みました。選考合宿で一緒だった多くの仲間たちを含めてみんなと切磋琢磨し、厳しい練習を乗り越えながらいろいろなことを学びました。こんな最高なチームがあるのかと思うくらい、素晴らしい仲間たちに恵まれましたし、そのチームの一員であることを誇りに思います」 万感の思いを込めながら決勝を振り返った本橋をはじめとして、12人の代表選手全員がアメリカ戦でコートに立ち、その上で得点を記録した。ホーバス・ヘッドコーチは「これは本当に素晴らしいこと」と、再び目を細めながらこう続けた。 「日本にはアメリカのグリナー選手のようなスーパースターはいない。それでも、試合ごとに違う選手が活躍するスーパーチームだ。今後はアメリカを倒すことを新しい基準として、そのために何をすべきかを考えていかなければいけない。銀メダルを取ったここから新しい時代が始まる。進化していくためにも日々、勉強していきたい」 表彰式後にすべてのスタッフが加わった記念撮影では、選手の一人からホーバス・ヘッドコーチに銀メダルがかけられるひと幕もあった。絆の強さが伝わってくるチームが目指す方向は、キャプテンのセンター高田真希(31・デンソー)の決意に集約される。 「どんな相手に対しても決してあきらめることなく、自分たちのスタイルを貫き通していく。勝負どころで勝つのは、それを徹底できているチームだと思っています」 最終日に定着してきた男子決勝が、女子のそれに変わった東京五輪。平均身長177.6cmと出場12ヵ国中で2番目に小さな日本が最後まで魅せた旋風は一過性のものではなく、アメリカを倒せる可能性を秘めた新たな戦法として記録と記憶に刻まれた。