老後は介護施設に入る予定なので、家を売りたいです。早く売った方が売値は高いでしょうか?
老後の生活計画を立てるなかで、介護施設への入居を考えている人は少なくありません。その際に問題になるのが財産の処分です。中でも最大の財産は「家」でしょう。持家を売却することは大きな決断です。売却のタイミングによって、得られる価値はどの程度変わるのでしょうか。 本記事では、この疑問について資産価値の観点から考えてみます。
住宅および土地の経年変化と価値の低下
まず、住宅の価値がどのように変化するかについて、土地も含めて考えてみましょう。 ・住宅の価値の変化のしかた 住宅の価値は建てられてからの経過時間とともに減少していく傾向があります。特に木造の一戸建ての場合、法定耐用年数は22年です。これを過ぎると、その資産価値は大きく下がります。実際に、築10年を経過すると新築時の価値が半減し、15年を超える頃にはさらに減少し、20年を過ぎるとほとんど価値がないと見なされることが一般的です。 価値が下がる原因としては、建物の経年劣化や最新の建築基準に対する非適合などが挙げられます。例えば、ある一戸建て住宅が新築時に1億円で売り出されたとして、10年後には約5000万円にまで価値が下がり、20年後にはさらに低下してしまうのです。 ・土地の価値の変化のしかた 一方、土地の価値に関しては、建物とは異なり経年劣化の影響を受けません。その価値は、立地や周辺環境の変化などによって左右されます。地方都市での再開発プロジェクトや観光地へのアクセス向上などは、土地の需要を高め価値を上げる要因となります。 具体的には、再開発が予定されている地域の土地は、プロジェクト発表前には1坪あたり30万円だったものが、計画が具体化し始めると50万円以上に跳ね上がることも珍しくありません。 ・個々の住宅と土地の価値の変化に対して最適な売却戦略を立てることが重要 住宅と土地では価値の変動要因が大きく異なります。住宅は新築の魅力が薄れるとともに価値が下がりやすく、土地は地域の発展と共に価値が上昇することがあります。したがって不動産を所有している場合は、建物と土地のそれぞれの特性を理解し、適切なタイミングで売却戦略を立てることが重要です。