神戸の三木谷オーナーはなぜバルサ招待試合会見で質疑応答を行わなかったのか?
突然の監督交代に揺れるヴィッセル神戸の親会社、楽天株式会社(本社・東京都世田谷区)は18日、スペインの名門FCバルセロナを招へいし、プレミアリーグの強豪チェルシー、そしてヴィッセルと対戦する「Rakuten Cup Supported by スカルプD」を7月に開催すると発表した。 バルセロナは7月23日にチェルシーと埼玉スタジアムで、同27日にはヴィッセルとノエビアスタジアム神戸でそれぞれ対戦する。都内のホテルで行われた記者会見には、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長(54)が登壇。日本国内で実現させたバルセロナ対チェルシーに、「世界が注目する戦いになるのではないか」と笑顔を浮かべた。 「いままではJリーグのチームと海外チームの対戦が標準でしたが、今回はヨーロッパのナンバーワンを争うチーム同士が日本で対戦する、ドリームが実現すると思っています」 約3分半に及んだ挨拶では、オーナーを務めるヴィッセルに対して言及することはなかった。バルセロナを代表して出席した元フランス代表DFで、現在はテクニカル・セクレタリーを務めるエリック・アビダル氏との写真撮影を終えるとそのまま降壇。メディアとの質疑応答も行われなかった。 記者会見の開催がリリースされたのが今月15日。この時点ではヴィッセルが緊急事態に見舞われるとは、三木谷オーナーを含めた誰もが思ってもいなかったのだろう。 会見終盤に行われたアビダル氏とのQAセッションには三木谷オーナーではなく、楽天の有馬誠副社長執行役員が登壇した。すべて予定通りの進行だったとはいえ何ともバツの悪いタイミングとなってしまった。 ヴィッセルは前日17日に、フアン・マヌエル・リージョ監督(53)との契約を解除したと発表した。リージョ監督本人からの申し出を受けて、最終的に合意した。稀代の戦術家として昨年9月に招へいされたスペイン人指揮官は、クラブを通してこんなコメントを残している。 「人生では難しい決断をしないといけないこともあります。私と家族にとってはこうすることがベストだと思いました」 もっとも、リージョ監督の就任会見で三木谷オーナーが発した言葉を振り返れば、わずか7カ月での電撃辞任はどうしても不自然に映る。相思相愛の恋人と出会ったと言わんばかりに、同オーナーは興奮気味に声を弾ませていたからだ。 「ポゼッションサッカーの開拓者であり、世界のサッカー界では誰もが知っているイノベーター。我々が目指しているポゼッションサッカーに合う、経験値が高くて、インテリジェンスのある監督を探していたなかで、まさかオファーを引き受けてもらえるとは思わなかった」