衆院選の「当落予想」はなぜ“当たらない”? “現行の選挙制度”の下で自分の票を生かす「効果的な投票行動」とは
10月27日投開票の衆議院議員総選挙が近づいてきた。新聞や雑誌、ウェブメディアの記事、はてはSNS等で「議席予想」「当落予想」が行われるが、実のところ「なかなか当たらない」というイメージが強い。その主な理由として、選挙制度として採用されている「小選挙区・比例代表並立制」の下では、政党支持率が必ずしもストレートに獲得議席数へと結びつかないことが挙げられる。 【図表】前回衆院選(2021年10月31日)での選挙違反の摘発数 現行制度のベースとなっている「小選挙区制」には制度的にみてどのような特質があるのか。現行制度の下、有権者として投票行動を決めるうえで何を基準にすればよいのか。
知っておくべき「小選挙区制の特質」とは
有権者として投票行動を決めるにあたっては、現行の選挙制度を十分に理解しておく必要がある。 現行の「小選挙区・比例代表並立制」は、自治体をベースに設定された全国289の選挙区からそれぞれ1名ずつ選出する「小選挙区選挙」と、全国を11ブロックに分けブロックごとに政党の得票数に応じて議席数を割り振る「比例代表選挙」の二本立てとなっている。 有権者は投票用紙に、小選挙区選挙ではその選挙区の立候補者名を、比例代表選挙では政党名を記入し、投票する。小選挙区で敗退した候補者も、「惜敗率」が高ければ比例代表選挙で「復活当選」できることがある。 衆議院議員の定員は465名、その内訳は小選挙区が289議席、比例代表が176議席となっており、小選挙区により多くの議席が配分されている。 国会議員秘書、市議会議員を経験した三葛敦志(みかつら あつし)弁護士は、数々の選挙戦を闘ってきた経験をふまえ、小選挙区制の「メリット」と「問題点」のそれぞれについて述べる。 三葛弁護士:「小選挙区制においては、小選挙区で得票の過半数を占めた候補者が選出されるので、大政党の候補者が当選しやすく、その反面、小政党の候補者は当選しにくくなっています。よく『二大政党制』につながりやすいといわれます。 小選挙区制のメリットとして大きいのは以下の二点です。 第一に、政権が安定しやすい点が挙げられます。政権与党への支持率(不支持率)については全選挙区で大きく変わるものではないことから、比較的同じ傾向の結果が出やすいためです。 第二に『選挙にお金がかからないこと』です。その理由として、同じ政党の候補者同士による戦いがなくなること、選挙区が大選挙区制や中選挙区制に比べて小さく対象有権者数が少ないことが挙げられます。また、1選挙区から1人が選出されるので、正面から政策をぶつけ合う政策本位の選挙になりやすいといわれます」