衆院選の「当落予想」はなぜ“当たらない”? “現行の選挙制度”の下で自分の票を生かす「効果的な投票行動」とは
民主主義に「完全」はあり得ないからこそ“投票行動の意思決定”が大切
政治不信が叫ばれるようになって久しい。また、18世紀、フランスの啓蒙思想家ルソーは、イギリスで世界に先駆けて採用された代表民主制の欠点について、皮肉を込めて以下のように鋭く喝破(かっぱ)している。 「イギリス人民は、自分たちは自由だと思っているが、それは大間違いである。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれてしまうと、彼らは奴隷となり、何ものでもなくなる。自由であるこの短い期間に、彼らが自由をどう用いているかを見れば、自由を失うのも当然と思われる」 (「社会契約論」ジャン=ジャック・ルソー 著/作田啓一 訳(白水社)より) この指摘は、「社会契約論」が刊行された1762年から約260年を経た現在でもなお当てはまる。代表民主制は完全な制度ではない。だからこそ、国民の不断の努力が求められる。 私たち国民が「奴隷」とならず「自由」を維持し続けるには、選挙権を効果的に行使し、国会議員に「全国民の代表」としての緊張感をもって職務にあたらせる必要がある。だからこそ、現行制度の内容とそのメリット・問題点を十分に理解したうえで、投票日の10月27日までに、候補者ないしは政党の政策や過去の言動・実績等を十分に見極め、投票行動を決めることが大切である。
弁護士JP編集部