【おひとり様老後の3大不安を解消!・孤独死】自治体の「見守りシステム」を活用しながら、地域の人とのつながりを大切に
◆異変に気づく距離で交流を持つ 自治体の見守りサービスも進化してきました。多くの自治体が取り入れているのは、ひとり暮らしの高齢者などを対象に提供される「緊急通報システム」。これは通報機器を自宅に設置し、具合が悪くなったときなどに緊急ボタンやペンダント型発信機のボタンを押せば、近所の協力員や消防署、救急車が駆けつけてくれるというものです。 それに加えて最近では、トイレなどに設置した人感センサーに24時間反応がないと、自動通報された警備会社から職員が駆けつけたり、火災センサーが火災の発生を感知して消防に通報するサービスを提供する自治体が増えています。 利用条件は各自治体で異なりますが、料金は無料から月額1000円程度と比較的安価なので、利用しやすいのではないでしょうか。お住まいの自治体や地域包括支援センターに、どのような見守りのシステムがあるか問い合わせてみましょう。 警備会社のほかにも、民間企業と自治体が連携し、見守りサービスを展開しています。たとえば、新聞配達時にポストに新聞がたまっていたら安否確認を行う。水道局や電気・ガス会社が使用量に極端な変化を検知したときに家族や自治体に知らせる、といったもの。配食事業でも、弁当の配達時に見守りを行う企業が増えています。 全国どこでも利用しやすいのは、郵便局の「みまもりサービス」です。郵便局員が月1回、利用者を直接訪問し、会話を通じて生活状況を確認。そのほか、電話の自動音声による毎日の体調確認サービスや、緊急時に警備会社の警備員が駆けつけるオプションも用意されています。 近年は、AI家電をはじめとした高齢者を見守るツールも多彩です。ヤマト運輸は、専用の電球を自宅に設置し、スイッチのオンオフで安否確認を行うサービスを提供。同じセンサータイプでは、使用頻度の高いテレビや冷蔵庫、電気ポットなども定番です。
これら便利な見守りサービスに加えて大切なのが、地域とのつながりを持つこと。近くに友人や知人がいないと家にこもりがちになり、もしも家で倒れても、誰にも見つけてもらえません。 そのため、近所に何人か自分を気にかけてくれる人を作っておきましょう。家の状態を確認してもらえる「向こう三軒両隣」の人がベストです。 また、社会福祉協議会がサポートして運営する「サロン」や、NPO法人などが開催する「コミュニティカフェ」などに足を運んで近隣の人と交流するほか、公園で行われているラジオ体操に参加するのもいいと思います。 こうしたつながりをいくつか持っておけば、「近頃ラジオ体操で見かけない」「雨戸が数日閉まったまま」といった異変にも気づいてもらえるはずです。 高齢者の異変を近所の人が相談できるホットラインを設置している自治体もありますから、もしもお住まいの市区町村で実施していたら、「私に何かあったらここへ連絡して」と頼んでおいてもいいかもしれません。 要介護・要支援認定を受けていれば、介護サービスを活用して、生活援助や訪問診療で自宅へ頻繁に人が出入りする環境を作ることができます。介護保険だけで毎日サービスを受けることができない場合は、自費で1~2日の生活援助を頼めば、短時間でも毎日誰かが様子を見てくれる態勢を作ることも可能。 介護度が進んだら、高齢者施設への入居を考えてもいいでしょう。職員が常に見守ってくれる施設であれば、少なくとも孤独死は避けられるからです。 システムを上手に活用しながら、人とのつながりを大切に。毎日を安心して過ごせる環境を整えてください。 (構成=山田真理)
中澤まゆみ
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