“ありそうでないカバン”を手がける香川発のブランド「カワニシカバン」
ービジネス用として、レザートートバッグも爆発的な人気がありますよね。 非常にシンプルなデザインですが、その反面、かなりこだわって作っています。 一般的なビジネストートバッグは、ポケットやファスナーをたくさん付ける傾向にあるのですが、必要な人はバッグインバッグを使います。そのため、極力内ポケットの数は減らしました。
また、いまではパソコンやタブレットを持ち運ぶ人が多いので、バッグの中央に入れられるように設計しています。多くのパソコン収納スペースはバッグの側面に付けられているのですが、それは縫製が圧倒的に簡単だからです。
また、バッグの側面も丈夫になるよう、特別な縫い方をしています。わざわざ中央にポケットを作るのは縫製者泣かせだと言われますが、協力してくださっている縫製者さんたちが、僕らの長く愛されるものづくりに共感し、型崩れのしにくさを優先してくれているからこそ実現した仕様です。
持ち手の長さにもこだわっていて、肩にかけても十分なゆとりがあります。中途半端な長さの持ち手が付いたバッグがあると思いますが、それらは置いたときにバランスが良く、美しく見えますが、使い手のことは考えられていません。
YouTubeに力を入れる理由
ーYouTubeにはどういった経緯で参入されたのですか。 最初は、自分たちで製品を販売していくルートを作るために、YouTubeでShopifyを開設するための動画を見ていました。ある日、この動画を上げている投稿者の方に連絡を取って、Shopifyの開設のサポートを依頼しようと思ったら、「数ヶ月先まで予約がいっぱいです」と言われたんですね。登録者が多いYouTubeチャンネルではなかったのに、それほどまでに影響力があるのかと驚きました。 そこから、すぐに一人で動画投稿を始めました。いまではありがたいことに、多くの視聴者さんにチャンネル登録までしていただいています。
ーYouTubeを通じて、視聴者に伝えたいことを教えてください。 この仕事をしていて感じるのは、必要な素材がベルトコンベアーで運ばれてきて、ちゃちゃっと商品が出来上がると考えている人があまりにも多いということです。 革は柔らかく、機械で簡単に裁断したり組み上げたりできません。人の手でしか扱えないもので、そこには必ず多くの職人が携わっています。ですから、買ったものに愛着を持っていただけたらうれしいです。それが生産者側の切なる思いです。 この考えを伝えるためには、必ずしも自社製品だけを取り上げる必要はないと考えています。だからこそ、良いものは良い、微妙なものは微妙だと、公平な目を持って伝えています。 ー今後の挑戦について教えてください。 海外での販売ですね。店舗を出すという形ではなく、別の形を模索しています。これは国内の店舗も同様です。商品を売る場としてだけではなく、人が集まる場を想定していて、そこでの出会いからまた何か生まれていくのではないかと考えています。 先日、大阪でイベントをして、小さなスペースに200人以上が集まってくれました。そこでは商品は買えず、購入はネットでお願いする形だったのですが、お客様からは不満もなく、むしろそこから新たなコミュニケーションが生まれました。 お客様の中から、スタッフの手伝いをしますと言ってくれる人が出てきたり、お客様同士で盛り上がったりしていて、お店とは何かを考えさせられました。 ー商品の開発については、いかがでしょうか。 いま製作しているのは、二つ折り財布です。いまはキャッシュレス決済が中心になっているので、ファスナーを開けなくても、カード類が取り出せるような設計にしました。