表紙撮影のクリエイターが本音を語り合う クリエイションとサステナは両立する?
木村舞子/スタイリスト
PROFILE:(きむら・まいこ)百々千晴氏に師事。ファッション誌やカタログのスタイリングを中心に手掛ける。「ユニオン マガジン」のファッションエディターとしても活動。ファッション誌「ギンザ」で「サステイナブルライフへの道!」も連載中
矛盾から芽生えた意識
WWD:サステナビリティに関心を持ったきっかけは?
RIKKI:環境を考えた企画の撮影なのに、現場はそうでない状況に矛盾を感じていた部分がありました。コロナ前からスタジオの使用済み背景紙を回収し始め、何かできないかを考えたのがスタートです。
WWD:量はどのぐらい回収を?
RIKKI:都内某スタジオに月1回引き取りに出向いていて、多いときは約100kg、少なくても60kgはあります。紙製のハンガー作りを模索していたときだったので、回収してきたものを使って試作し、製品を作っていきました。黒い点なども入った形で製品ができ上がってるのですが、それは黒いバミリ(撮影時に被写体が立つ場所をマークするために貼るテープ)の跡です。
岡本多緒(以下、多緒):撮影時の背景紙って毎回新しいものを使っていますよね。高価ですしレタッチも進化しているので、例えば「ユーズドの背景紙なら半額になる」など、サステナビリティを考えた提案があってもいいなと思うことがあります。
RIKKI:スタジオは、背景紙を事業ゴミとしてお金を払って廃棄している。その点も、僕が収集してみようと思ったきっかけのひとつです。環境に対して「フォトグラファーとして写真以外で何ができるか」を模索し、循環型ギャラリー&スタジオ「ソイルメイツ スタジオ」を立ち上げました。
WWD:MICHIRUさんは?
MICHIRU:きっかけは、30年以上続けているヨガのエコロジカルなライフスタイル。そこから食にも興味を持つようになりました。その後、肌荒れや敏感肌のモデルや俳優に多く会って、肌にも環境にもいいものを探し出していたころ、ミネラルコスメブランド「MIMC」からクリエイティブ・ディレクターとしてお声がけいただいたんです。自信を持っておすすめできる、撮影でのクオリティーにも申し分ないメイクプロダクトが製作できるようになりました。