スーパーGT第2戦富士、その舞台裏で起きていた車検違反の協議。お咎め無しの裁定に坂東代表が私見「規則の解釈に関しては話をすべきだが……」
5月4日に富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第2戦。ゴールデンウィークの開催ということもあり、2日間で9万人近くの観衆を集める大盛況のイベントとなったが、レース終了後にはその競技結果確定に際して気になる動きがあった。 【動画】2024 スーパーGT第2戦富士:決勝ハイライト(GT300) GT500クラス、GT300クラス共に17時25分付で暫定結果が出され、GT500は18時40分に正式結果が確定したが、GT300の正式結果はなかなか発表されず。車両はホームストレートで車両保管されたままで、各チームのスタッフがピットウォール付近で保管解除を待つ状況であった。しかもその中で、GT300で2番手チェッカーを受けた56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの名前が、富士スピードウェイ場内のリザルト掲示から消えていたのだ。 実際にメディア関係者の間でも、56号車が車検違反により失格になるのではないかという話が噂レベルであがってきていた。しかしながら20時10分にようやく発表された正式結果では、56号車が2位のまま残っていた。 この舞台裏についてmotorsport.comに入っている情報を総合すると、車検の中で56号車に最低地上高違反となる数値が計測され、審査委員会がKONDO RACINGにヒアリングを行なったところ、レース中に他車に接触されたことが影響しているという旨の話が出たとのこと。それらを踏まえて審査委員会が協議をした結果、56号車は車検違反に問われなかった、というのが実情のようだ。なお、これはチームの方から疑義の申し立てがあったわけではなく、あくまで審査委員会からのヒアリングによって出てきた話だったと言われている。 そういった裁定はJAFや開催サーキットなどから派遣されたスタッフで構成される審査委員会によって下されるものだが、スーパーGTのシリーズプロモーターであるGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表はこの件をどう捉えているのか? GTA定例記者会見の中で尋ねた。 坂東代表は、今回下された審査委員会の裁定を尊重しているものの、個人の見解としては車検で出された違反数値に関しての議論はすべきではなく、議論の対象とするのはあくまで規則の解釈などにとどめるべきではないかと述べた。 「解釈の相違であれば、それは話をしていいと思いますが、個人的には車検の数値に対して、(規定の数値)未満であればOKという考えであり、それに対して何を言おうが(覆ることは)あり得ないというのが自分の考えです」 坂東代表はそう語る。 「采配に関しては審査委員会にお預けしているので、それに対して異議を唱えることはありません。ただ今後の姿勢づくりとしては、きちっとしたものをしていきたい。私の頭の中には去年のアップガレージのこと(※昨年の第6戦で18号車UPGARAGE NSX GT3が最低地上高違反により失格)が残っていますから」 「数字に対しての話し合いは、私はないと思っています。重量にしても、車高にしてもです。GTAとしても技術部が設備投資をして、車検のクオリティを上げようとしている中で数字を出しています。その考え方は変わるつもりはありません」 「解釈の相違は色々と話をしていかないといけないと思っています。ただ出た数字に対しては、いかなる状況下にあってもそれをきちっと評価していただきたい。シリーズ戦としての一貫性のある解釈を今後も期待していますし、お願いしたいです」 なお、こういったシリーズとしての一貫した裁定に関しては規則面での整備も必要になってくると考えられるが、GTAは今後規則等で指針を明確にすることについても検討していくと話している。
戎井健一郎
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