衝撃!名古屋グランパスから2人目の新型コロナ感染者…本当にJ1リーグの7.4再開は大丈夫なのか?
ランゲラックとともにPCR検査を受けた他の25人は、すべて陰性が確認されている。グランパスは保健所に協力しながらランゲラックの濃厚接触者の特定を進め、同時にクラブ内でまだPCR検査を受けていない選手やスタッフ、合計で16人のPCR検査を8日にも実施するという。 金崎の濃厚接触者と特定された19人は保健所の指示により、新型コロナウイルスを発症したと見られる5月29日から2週間、つまり今月12日まで隔離される。ランゲラックの濃厚接触者と特定される選手やスタッフが出た場合も、同じように発症日から2週間の隔離処置が施されることになる。 活動休止中のグランパスは13日から全体練習を再開させる予定だったが、ランゲラックの感染発覚を受けて、参加できる選手やスタッフの人数に影響を及ぼすおそれがある。すでに全体練習を開始し、メニューの強度も徐々に上げている他のクラブとのコンディションの差もどんどん開いていく。 抱えるハンデを把握した上で、ランゲラックの件をJリーグへ伝えたグランパスの小西工己代表取締役社長は、オンラインで行われた緊急会見で7月4日のJ1リーグの再開に影響は与えないとした。 隔離者が増えて人数が足りなくなる場合は、名古屋グランパスU-18に所属する高校生を臨時に昇格させてチームを編成するか、あるいはグランパスが絡むカードを延期させる対策も検討されるだろう。 問題は今後のPCR検査で新型コロナウイルス感染者がさらに確認され、グランパス内でクラスターが発生した場合になる。ただ、Jリーグは全56クラブに所属するすべての選手やコーチングスタッフ、審判員やマッチコミッサリーら、一回について最大3680人を対象としたPCR検査を、今月20日を皮切りに12月下旬のシーズン終了まで、2週間ごとに実施していくことを決めている。
村井チェアマンをして「試合出場の可否を判断する前提となる、クラブ間で申し合わせの義務」と言わしめる大規模な検査をへて、ランゲラックと同じような無症状の感染者がある程度の人数で確認される可能性も捨てきれない。 それでも起こりうるすべての事態を織り込んだ上で、選手たちが何の不安もなく、安心安全に全力でプレーできるパスポートとなる陰性をまずは徹底して証明していく。 現状では濃厚接触者の定義として、感染者と1メートル以内の距離で15分間以上の接触があった場合とされている。ただ、まったく同じ構図がサッカーの試合や練習で生じるとは、現実的には考えられない。その代わりに日常生活ではほとんど起こりえない、激しいフィジカルコンタクトが何度も繰り返される。 一夜明けた8日には日本野球機構(NPB)と共同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第9回目の会合が行われる。感染症の専門家チームから、新たな知見を得る青写真を村井チェアマンは描いている。 「一般社会生活における濃厚接触の定義に対して、アスリートの場合の濃厚接触とはどのようなものなのか、という点を私たちなりにしっかりと分析して仮説を立てた上で、隔離する範囲を専門家の先生方ともう少し詰めていきたい。PCR検査で一人でも陽性が出た場合、チームの全員、もしくは対戦相手すべての濃厚接触を疑わなければいけないのかをもう少し丁寧に、場合によっては医療機関や医療行政などに私たちから説明しなければいけないのかな、と考えています」 他のクラブのなかには、すでにトレーニングマッチを解禁しているところもある。週末の13日と14日には1試合ずつを選んでプレPCR検査を実施し、本番を想定して唾液を採取しての検査システムが稼働するかどうかを確認する。プレ検査とはいえ、陽性が確認されれば隔離の対象となる。 金崎に続いてランゲラックの感染も発覚した状況は、今後起こりうる事態が早まったと受け止められるかもしれない。2人の回復と元気にプレーする姿が訪れることを祈りながら、あらためて実感させられた新型コロナウイルスの脅威と共存し、あるいは乗り越えていくための体制を整えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)