イニエスタ擁するヴィッセル神戸が新型コロナ時代のサッカー対策準備「降格がないため攻撃的サッカーが増える」
7月4日に決まった待望のJ1リーグ再開へ向けて、スペイン代表と名門FCバルセロナで一時代を築きあげた稀代のプレーメイカー、MFアンドレス・イニエスタを擁する昨シーズンの天皇杯覇者ヴィッセル神戸が、調整ペースを一段階あげた。 兵庫県に発令されていた新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言の解除を受けて、5月25日からチームを4つのグループに分けて再始動していたヴィッセルは1日に全体練習へと移行。神戸市西区の練習拠点、いぶきの森球技場で午前中に約2時間、完全非公開のなかで汗を流した。 選手たちは練習場への到着時にクラブスタッフによる検温を受け、目立つようにそれぞれの背番号が大きく記された専用のペットボトルを手にしてピッチへ入場。選手を除いたコーチ陣やスタッフ全員がマスクを着用し、頻繁にボールがアルコール消毒されたなかで行われた練習を、終了後にオンライン形式でメディア対応したトルステン・フィンク監督は笑顔で歓迎した。 「いままでは厳しい時期が続いてきたが、チーム全体で練習するのはやはり楽しい。先週はコンディションがまだ100%ではなかった選手もいたが、今日は全員が100%で参加してくれたので非常にいい練習ができた。いろいろなシナリオがあり、いつ再開されるのかがわからない状況が割と長く続いてきたが、決まったことで正確な目標ができた。これでその目標へ向かって進んでいける」 再開後には未知の戦いが待つ。2月下旬からすべての公式戦が中断されてきたなかで、7都府県に緊急事態宣言が発令された4月7日前後からほとんどのJクラブが活動を休止。元日本代表DF酒井高徳がJリーガーで初めて新型コロナウイルスに感染したヴィッセルも例外ではなく、自宅待機を余儀なくされた選手たちのコンディションはシーズン始動前のレベルにまで落ちてしまった。 3月中旬には今シーズン限定の特例として、カテゴリー間の「昇格あり、降格なし」が決まった。クラブ間にさまざまな不公平感が生じるシーズンになると見越した上で、最大のリスクとなる降格を排除したJリーグの決断がもたらす変化を、フィンク監督は警戒感をもって受け止めている。 「降格することへの恐怖がないのであれば、他のチームがもっとリスクを冒して、もっと攻撃的なサッカーをしてくる確率が非常に高くなると思う。我々はあまりプレースタイルを変えたくないが、シーズンが始まれば他のチームの戦術や戦い方がわかるので、その対応もしていかなければいけない」