佐々木朗希がとんでもない偉業を達成した5つの理由とは?
3つ目の理由は、佐々木の調整能力だ。 「手足が長く、160キロを投げる投手は、数ミリの狂いが打者のところでは数センチに変わるほど微妙な調整が必要になる。そこにマウンドの傾斜、風、当日の調子、すなわちコンディションなどの要素が加わってくる中で最適なリリースポジションをみつけなければならない。ここまで2試合は、ストレートが右に抜けるボールが何球かあったが、この日は、ほとんど見られなかった。リリースまでのすべてが一致した証拠。 佐々木は投げる度にその調整が上手くなっている。ZOZOマリンにしては珍しく風がなかったが、このことも幸いしたのかもしれない」 27年前に野田氏が、この球場で19奪三振を記録した際には、強風が武器であるフォークをさらに変化させ、それこそ“追い風”となったが、佐々木は、ほぼ無風の状況で、今季2試合目となるZOZOマリンのマウンドにフィットした。 4つ目は制御を解除した進化だ。 「まずフォームが安定した。あそこまで左足を高く上げる選手はバランスを保ちにくいものだが、下半身主導型で、フォームバランスが良くなった。右腕を下げてから、テイクバックへ入っていく部分の動きと軌道を少し変えたが、非常にスムーズになった。これまではコントロールをフォームで重要なのは形ではなく動き。つまり連動性が進化した。これまでは、フォームの崩れや、肉体への負担を考え、出力を制御していたが、トレーニングによる筋肉の強化を含めて体が出来上がってきたこともあり、制御が解除され、80%から全力の力加減で投げることができるようになってきた」 そして、その進化を支えたのがロッテの育成計画の成功である。それが5つ目の理由。 「高卒ルーキーで、これだけの大型の逸材となると、最近では大谷翔平、藤浪晋太郎くらいしかいないため、おそらくロッテとしても前例がないため、現場も試行錯誤だったと思う。だが、1年目は無理せずに2軍で体力を作らせ、昨年も登板数を11試合、63イニングと3分の1に抑えて登板間隔も十分にとって大事に使った。メディカルスタッフと連絡を密にしながら、筋力の変化などに注意を払いながら、育成計画を進めたとも聞く。まだ20歳。育成計画は終了したわけではないだろうが球団が中長期ビジョンをしっかり作り実行した成果だろう」 佐々木は、お立ち台でのインタビューを「次回もいいピッチングができるように頑張ります」という言葉で締めくくった。 次回登板は17日の本拠地での日ハム戦。BIGBOSSの度肝を抜くピッチングを2試合続けて披露するかもしれない。ネット上では「2試合連続完全試合って世界記録じゃねえ?」と期待する声まで出ている。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)