佐々木朗希がとんでもない偉業を達成した5つの理由とは?
パ・リーグの野球に詳しい阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は、「言葉がみつからないくらい凄かった。伝説のピッチングだ」と絶賛した上で5つの理由があると分析した。 1つ目は、スピード、コントロール、フォークのキレの3条件の一致だ。「ストレートの質とスピード、コントロール、フォークの落差のすべてが揃っていた。ストレートは9回でも159キロが出ていたし低めのボールは落ちずに伸びていた。質が高かった証拠。打者は低めのボールが伸びてくると見極めが難しくなり、同じフォームで投げてくる高速のフォークがさらに効果的となる。コントロールも良く27人中23人にストライクが先行していた。必然、厳しいボールで勝負できることとなり失投の確率が減った」 池田氏の指摘の通り、打者27人で、ボールが先行したのはわずかに4人だけ。与四球の最大のピンチは7回の先頭の後藤に対してボール3となった場面。だが、そこからストレートをストライクゾーンに続けて、ライトフライに打ち取っている。佐々木も「ストライク先行で、早いカウントで勝負できたのがよかった」と振り返った。 スピードガンのマックスは164キロで9回の100球目も159キロをマークするなど、最後までスタミナも落ちなかった。 2つ目は、今季の3試合すべてでバッテリーを組む、ドラフト1位ルーキー松川の存在だろう。 試合後、佐々木は、2つの奪三振記録を「松川がいいリードをしてくれたので要求に応えられながら投げることができた」ことを理由として挙げた。 池田氏は、あるシーンに注目した。9回のマウンドに上がる前のベンチで佐々木の方から松川に近づき話をしていたのだ。 「インタビューなどを聞く限り、佐々木は、非常に人に気を使う性格に見える。年上のキャッチャーであればサインにクビもふりにくいだろうし遠慮もあり自分の意見を主張することも難しいだろう。だが高卒ルーキーで年下の松川とコンビを組むことで、自分の考えを素直に伝え、気持ちよくコミュニケーションが取れ、お互いの信頼関係が構築されているのだと思う。松川のリードが本当に良かった」 その象徴が、今季は三振が1個、昨季も455打席で26三振しかしていない“三振をしない男”吉田正との3打席の対決だ。1回の第1打席は、ストレートから入りフォークの連投でスイングアウト。4回の第2打席は初球にカーブから入った。 意外な配球で吉田を戸惑わせて見送りのストライクをとると、2球目もカーブを続けて、今度は空振り。そこからフォークを連投してワンバウンドになるような切れ味鋭いボールでフィニッシュ。7回の第3打席は、一転、初球からストレート勝負。3球続けてカウントを2-1とすると、フォークを挟んで空振りを奪い、最後は、またストレート。163キロをマークした速球がインコースへ決まると吉田はピクリとも反応することができなかった。前の2打席での多彩な変化球攻めが効いていた“線”の配球である。 松川は6回二死満塁からセンターフェンスを直撃する、あと数センチで満塁弾という走者一掃の3点タイムリーを放ち佐々木を援護した。