ライバル“コロナ”を圧倒! 日産「ブルーバード(910型)」は112.7万円~【今日は何の日?11月2日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、トヨタ「コロナ」とともに中型大衆車市場をけん引した日産自動車の6代目「ブルーバード(910型)」が誕生した日だ。4代目、5代目でコロナに圧倒されたブルーバードだったが、原点回帰を目指した910型は、人気の名車3代目(510型)の再来と呼ばれるヒットモデルとなった。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型ブルーバードのすべて、80年代日本車のすべて、前田惠介 ■先進技術を投入して原点復帰を目指した6代目ブルーバード 日産・ブルーバードの詳しい記事を見る 1979(昭和54)年11月2日、日産自動車の6代目「ブルーバード(910型)」がデビューした。歴代ブルーバードでもっとも成功した3代目(510型)以降は、トヨタ「コロナ」に圧倒されていた。が、910型は510型を彷彿させる直線基調のシャープなスタイリングで、コロナを圧倒し人気復活を果たした。 コロナに対抗して誕生したブルーバード(310型) 初代ブルーバードは、1957年に登場したトヨタ「トヨペットコロナ」に対抗するために、2年遅れの1959年に誕生した。ブルーバード(青い鳥)は、欧米では“幸せの青い鳥”として幸福の象徴であることから、ネーミングされたとされている。 ブルーバードは、当初は4ドアセダンのみで親しみやすい丸みを帯びたフォルムを採用。パワートレインは、1.0L&1.2L直4 SOHCエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFR。サスペンションは、フロントをダブルウィッシュボーン独立懸架として、家族が乗って楽しめる乗り心地が実現された。 初代ブルーバードは、大々的な発表会を行ったこともあり、1ヶ月で8000台を受注。ライバルのコロナを圧倒し、連続64ヶ月小型乗用車のトップに君臨した。 これを機に、“BC(ブルーバード VS. コロナ)戦争“と呼ばれる熾烈な大衆車のトップ争いが始まったのだ。 歴代ブルーバードで最も成功を収めた3代目(510型) 初のモデルチェンジで登場した2代目(410型)は、デザインが不評で首位の座をコロナに譲った。 そして1967年に3代目(510型)が登場。3代目は、“新しい時代の新しいセダン”のキャッチコピーで、プラットフォームやエンジンなどを一新。スタイリングは、ロングノーズ・ショートデッキに、高性能時代にふさわしいスーパーソニックラインと呼ばれるシャープなフォルムが特徴だった。 パワートレインは、最高出力72psを発揮する新開発の1.3L&1.6L直4 SOHCエンジンと3速MTを組み合わせたFRレイアウト。1.6L高性能エンジンを搭載した「ブルーバード1600SSS(スリーエス)」は、1970年のサファリラリーで総合優勝を果たしたこともあり、大ヒットして再びコロナから首位を奪回した。 しかし、その後サメブルと呼ばれた4代目(610型:1971年~1976年)と5代目(810型:1976年~1979年)は人気が得られず、再びコロナの後塵を拝することになった。 トップの座に返り咲いた6代目(910型) 1979年のこの日登場した6代目は、大きな角型ヘッドライトを組み込んだ3代目のような直線基調のシャープなスタイリングが特徴だった。 注目の新機構としては、走行安定性を高めるハイキャスター・ゼロスクラブ・サスペンションや、新型ラック&ピニオン式ステアリング、ベンチレーテッド・ディスクブレーキなどが採用された。 エンジンは、1気筒あたり2本の点火プラグを配置した1.6L/1.8L/2.0L直4 SOHCが搭載され、トランスミッションは4速/5速MTおよび3速ATと、豊富なバリエーションを用意。翌年3月には、1.8Lターボエンジンが追加され、ターボ搭載の「1800SSS/2000SSS」は、圧倒的な走りで多くの若者の人気を獲得した。 駆動方式はFRだが、ブルーバードにとってはこの6代目が最後のFRモデルとなった。 車両価格は、1.8Lセダンの標準グレードが112.7万円、人気の1800SSSが120.8万円。当時の大卒の初任給は、11万円(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で標準グレードが236万円、1800SSSは約253万円に相当する。 シャープなスタイリングとスポーティな走りの910型ブルーバードの人気は爆発。販売台数は、27ヶ月連続で小型乗用車トップに君臨し続け、ライバルのコロナを圧倒した。 ・・・・・・・・・ 3代目ブルーバードの再来と言われて大ヒットした6代目ブルーバード。ブルーバード最後のFRモデル、またダットサンの冠が付いた最後のブルーバードであり、大きな転換期のモデルとなったのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純