「森」がお墓になる。あなたの命で木々が育つ、''循環葬''という新たな選択肢
小池友紀(こいけ・ゆき) at FOREST株式会社 代表取締役CEO。兵庫県生まれ。アパレル業界を経て広告クリエイティブの世界に入り、フリーランスのコピーライターとして15年活動。両親の改葬をきっかけに日本の墓問題と向き合い、死と森づくりを掛け合わせた「循環葬 RETURN TO NATURE」を創案、会社を設立する。2023年7月に関西・北摂の霊場、能勢妙見山にてサービスをスタート。
新しいビジネスとしての「循環葬」
── まず、この事業の全体像についてあらためて教えてください。 私たちは循環葬が「エンディングの新たな選択肢」になればと思い活動しています。自分らしい生き方の選択肢は増える一方で、誰にでも訪れる「死」の選択肢は少ない。家制度、ジェンダー、宗教、国籍にとらわれず、もっと自由な発想で、その人らしい眠り方があったらいいのにという思いで、この事業を立ち上げました。 ── 具体的にはどのように埋葬するのですか? ご遺骨をパウダー化して、土中に直接埋葬します。 ご遺骨の主要成分はリン酸カルシウムなので、これはホームセンターなどで土壌の肥料として売られているものと同じです。樹木がそれを栄養にして育つ、実った果実を鳥や鹿などの野生動物が食べる、その糞が土の栄養になる、そうして人の命がぐるぐると自然循環していくというものになっています。神戸大学の土壌学の先生に監修していただきました。 ── 埋葬というのは、民間企業が行っていいものなのですか? 単独ではできません。埋葬は法律での規定があって、地方公共団体と宗教法人、公益法人しかできないので、そこは昔から「死」に関わってきたお寺さんと連携してやっていこうと考え、歴史ある能勢妙見山とご縁をいただきました。 土の上にご遺骨を撒く「散骨」というかたちであれば民間だけでもできるので、当初はその道も考えたのですが、個人所有の土地では、当然ながら周囲への配慮が必要になります。 宗教法人として森の土地を持っているお寺さんと連携すれば、そのあたりの配慮は最小限で済みますし、私たちが関わることでお寺さんの管理が行き届いていなかった部分にも事業として貢献できる。はじめのスタートとしてはこの座組が最適だと判断しました。