日本の「公立小学校」を取材したドキュメンタリーが、教育大国フィンランドで絶賛されたのはなぜ? 映画監督に聞く
■日本の小学校は「コミュニティづくりの教科書」 ――本作は世界各国でさまざまな反響を呼んでいます。印象に残っていることはありますか。 教育大国として知られるフィンランドで4カ月のロングラン上映になったことです。フィンランドの教育では、コミュニティーの中で生きていくことに対する意識が弱まっていることが課題だそうで、この映画を見て「コミュニティーづくりの教科書だ」という言葉をいただいたのはすごく心に残っています。 こうした海外からの声を通して、私たち日本人が日本の教育の良いところに気づくことができればうれしいです。小学校で集団生活を経験することでプラスになる部分もある一方で、今はマイナスの部分ばかりが取り上げられているように感じます。日本のお国柄とされる礼儀やマナー、協調性などは、生まれた瞬間から身についているわけではなくて教育を通して学び、身についたもの。「集団」と「個」、「制限」と「自由」、そのバランスの正解を出すのは難しいことですが、教育については社会のみんなで考えていくことが大事です。日本の未来に興味があるみなさんに映画を見ていただき、少しでも多くの人が日本の教育について考えてほしいと思います。 (取材・文/岩本恵美) 〇山崎エマ/神戸市⽣まれ。イギリス⼈の⽗と⽇本⼈の⺟を持ち、東京を拠点に活動するドキュメンタリー監督。19歳で渡⽶し、ニューヨーク⼤学映画制作学部を卒業後、エディターとして携わった作品はHBO、PBS、CNNや世界各地の映画祭で放送、上映された。代表作に「モンキービジネス:おさるのジョージ著者の⼤冒険」(2018年)、「甲⼦園:フィールド・オブ・ドリームス」(2020年)。 「⼩学校~それは⼩さな社会~」 12⽉13⽇(⾦)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 配給:ハピネットファントム・スタジオ 監督・編集:⼭崎エマ 2023年/⽇本・アメリカ・フィンランド・フランス/カラー/99分/5.1ch 公式サイト:https://shogakko-film.com/ ©Cineric Creative / NHK / Pystymetsa / Point du Jour シネスイッチ銀座・アップリンク吉祥寺限定で、「親子で一緒に観よう!キャンペーン」を実施! 上映期間中、劇場窓口で公式サイトの「特別鑑賞ペア割引券」を提示すると、当日券が大人1名・小学生1名で通常2,800円のところ、1,800円でご鑑賞いただけます。https://shogakko-film.com/campaign
岩本恵美