進化する「半沢直樹」今シリーズ成功で待ち遠しい次回
(この記事にはネタバレが含まれています) 堺雅人の主演ドラマ「半沢直樹」(TBS系)最終回が27日に放送された。今シリーズは2013年の前シリーズ以上に劇的な展開と“顔芸”とまでいわれた芝居が功を奏し、終わってみれば同時期の連続ドラマの中でも圧倒的な人気を集めた。最終回は半沢(堺)と進政党・箕部幹事長(柄本明)との直接対決をクライマックスに、ファンをスカッとさせた。早くも次期シリーズへの期待がふくらむ。
小さいものが大きなものに闘いを挑む娯楽の真髄
「半沢が会見の席上で箕部にぶつけたセリフの数々は、コロナをはじめさまざまなことでストレスがたまっている現在の世の中を背負っているかのようなセリフで名場面でしたね。半沢は今シリーズで、時代のヒーローに進化したといえるでしょう。負の連鎖は、どんな組織にも存在する。本来、娯楽を提供するはずの芸能界でさえも、強者が弱者を支配する構図が目立つ。しかし『半沢直樹』は弱者が強者に屈しない、それこそが娯楽の真髄です」と称賛するのは、テレビ情報メディアの40代女性編集者だ。 原作の池井戸潤氏自身も過去、THE PAGEの取材に「基本的に、小さなころからエンタメ志向の人間で、そういう本ばかり読んでいましたから。エンターテインメントは、見終わってから『面白かった』『すっきりする』と言ってもらわなきゃいけない。そうすると、小さなものが大きなものに闘いを挑む、弱いものが闘いを挑んで勝つ、構造上そうならざるを得ないんです。力のない弱者が負けて終わりではエンターテインメントになりませんから」と語っている。
期待裏切らずハラハラさせる見事さ
今シリーズ終盤、あわや中野渡頭取(北大路欣也)が悪とつながってしまっているのか?と思わせる展開もあったが、最終回では実はそうではなく巨悪を暴き銀行を正しい方向へと導く側だったこともわかり、ファンの期待を裏切らなかった。 「期待を裏切らずにハラハラさせるのは難しいものですが、『半沢直樹』はそこが完璧にできているところが見事。濃いキャラクターで回を重ねるごと人気を上げた大和田(香川照之)や黒崎(片岡愛之助)が、宿敵・半沢に惹かれ手を貸す展開もファンにとっては胸アツです。それでいて、一定の距離感というかライバル心は保っている」と話すのは、スポーツ紙の30代男性記者。 そして全般、放送のたび話題を集めたのはキャストの演技だ。コント寸前と言われるほどの大げさな表情や“土下座アクション”の応酬が受けた。9月6日に新型コロナウイルスの影響による撮影延期のため翌週に変更された第8話の代替として放送された「生放送!!半沢直樹の恩返し」では、現場のキャストも笑いをこらえる場面が多々あったことが明かされた。