北大路欣也、「半沢直樹」で貫禄の顔芸「まだ何かあるというのか?」
堺雅人主演ドラマ「半沢直樹」(TBS系、日曜午後9時)が相変わらず好調だ。9日放送の第4話では前半から後半へのリレーが見られた。半沢は出向先の東京セントラル証券から東京中央銀行に戻り、帝国航空の再建という大仕事を任せられることになった。ドラマに強烈なインパクトを与える歌舞伎俳優たちの演技も毎回注目の的となる同作だが、他にも主演の堺はもとより妻役の上戸彩、及川光博ら個性豊かなキャストが物語を盛り上げる。そんな中で、ここ一番という要所でしっかりドラマを引き締めているのが特別出演としてキャスティングされている中野渡頭取役の北大路欣也だ。
ベテラン女優も見倣いたい北大路の演技
主要な登場人物たちがほとばしるような感情の発露で物語を盛り上げるのに対し、北大路は全般的に落ち着いた演技で頭取らしい威厳を醸し出し、常にドラマの品格を支えている。そんな北大路演じる中野渡頭取が、9日放送第4話では“顔芸”で見せ場を盛り上げた。半沢が伊佐山(市川猿之助)に完膚なきまでの倍返しを果たし、さらにまだ続きがあるとした瞬間に、「まだ何かあるというのか!」と表情を一変させる。出演者たちの顔芸が話題となる中、北大路の顔芸はカメラワークと相まってさすがの貫禄だった。 「半沢直樹」はそのまま時代劇に置き換えてもいいと言われるが、筆者が4年前に藤沢周平原作で北大路主演の時代劇ドラマ「三屋清左衛門残日録」を取材した際、ベテラン女優の麻生祐未が「北大路さんと伊東(四朗)さんが並んで会話していらっしゃるのが、リズム感から何からもう素晴らしくて。一緒にいて共演できるだけで豪華な経験だと思いました。見倣わなくちゃ」と、とくにリズム感についてしみじみ話していたのが印象に残っている。北大路クラスの大御所となるとあらためて演技が素晴らしいなどと評するようなレベルでもないわけだが、そこには若手の役者だけではなくベテランの女優からも「見倣わなくちゃ」と言われるほどの奥深さがあるのだろう。 大きな山場が一瞬落ち着きさらなる山場へ突入する束の間のタイミングにあって、唐突でもなく、大げさでもなく、一瞬にして場の空気を引き締め、続く場面への関心を盛り上げる北大路の顔芸はお見事。ネット上にも「中野渡頭取のかっこよさは異常」「頭取はどうやって出世レースを勝ち抜いたのか、スピンオフやって欲しい」「もしかしてラスボスでは?」など、喜びと期待のコメントが目立つ。今後も大いに楽しませてくれそうだ。 (写真・文:志和浩司)