【朝めし自慢】鶴見和子(チーズ工房店主・66歳)「ヨーグルトをかけた果物が主役です」
子どもの頃からのチーズ好きが高じて、チーズ工房を設立。多忙な一日は、今日もヨーグルトと果物の朝食から始まる。 写真はこちらから→【朝めし自慢】鶴見和子(チーズ工房店主・66歳)「ヨーグルトをかけた果物が主役です」 東京都青梅市に小さなチーズ工房がある。『フロマージュ・デュ・テロワール』である。フロマージュとはフランス語でチーズのこと。テロワールとはその土地らしさほどの意味。店名に込めた思いを、店主の鶴見和子さんが語る。 「東京には酪農家さんが50軒ほどもあることから、東京と青梅という土地に思いを込めたチーズを作ろうと、この店名にしたのです。主原料の生乳や塩は東京産。ウォッシュタイプのチーズには青梅の酒蔵の日本酒を使っています」 チーズの製造に欠かせない乳酸菌も、生乳から自家培養する。青梅の名前を冠した看板商品の「フロマージュ・ドーメ」は、味噌や酒粕のような独特の風味が特徴だ。 「その土地や工房に棲みついた“蔵つき菌”のようなものが、特有の風味を生み出してくれます」 東京・文京区に生まれた。高校卒業後はカメラマンを目指したが、挫折。子どもの頃からチーズが好きで、チーズショップで働くようになる。さらに、チーズのラベルが読みたいとフランスに語学留学。その滞在中に、面白そうだからと“ENIL”(フランスの乳製品専門学校)に入学し、その他でも修業。チーズ作りを始め、チーズに関するあらゆる知識と技術を学んだ。振り返れば、フランスでのチーズ修業は5年にも及ぶ。 2010年に帰国。その4年後、56歳で設立したのが『フロマージュ・デュ・テロワール』である。
主食の代わりとなる果物
チーズ工房店主の朝食は簡素だ。ヨーグルトをかけた果物にミルクティーという献立。今の朝食に落ち着いたのは、フランスから帰国してからだという。 「フランスでは寮生活だったので、いわゆる学食での朝食でした。パンにコーヒーか紅茶、ココアなどの飲み物、ちょっと気の利いた寮ならそれに果物かジュースが付く程度。今は主食のパンの代わりになるのが果物です」 幼少の頃から牛乳とプロセスチーズが大好きだった。ナチュラルチーズに出会ったのは高校生の時。初めて食べたのはフランスのチーズ「シュプレム」、30代でドイツのチーズ「カンボゾーラ」に衝撃を受けた。その時々を、チーズが彩ってくれた半生である。