トランプ政権を軸に「2025年の国際情勢」を予想。行き当たりばったりの日本は渡り合えるのか
◆イスラエルとパレスチナ、中東の今後は
さらに現在続いている世界的にメジャーな紛争といえば、イスラエルとパレスチナの問題である。イスラエルは、2023年に同国に対して大規模テロを実行したイスラム組織ハマスの幹部を次々と殺害して一掃したが、テロの際にハマス側がイスラエルから誘拐していった多くの人質はまだ解放されていない。その交渉も、トランプ政権発足後には進む可能性がある。トランプ氏が、生き残った数少ないハマス幹部らの拠点であるカタールやトルコといった国にプレッシャーをかけることで、イスラエルが有利になるような交渉が行われるはずだ。 テロ後のイスラエルによる報復攻撃で、パレスチナ自治区ガザでは4万人以上が巻き添えで殺害されているが、この紛争もトランプ氏が仲介することで停止する可能性が高い。そうなれば、ガザ住民の7割を占める女性と子どもたちが、これ以上、報復によって巻き添えで死亡することはなくなるだろう。 また中東では、2023年に独裁政権だったアサド政権が崩壊したシリアや、イスラエルと交戦状態にあるイランの動向にも注目だが、それらもトランプ政権が鍵を握っている。シリアに安定した親米政権が生まれるか、またイスラエルが2025年内に爆撃など行う可能性が高いイランの動きについても注視されている。
◆トランプ氏、北朝鮮への接触は? 韓国政界の混乱はどうなるか
アジアでは、北朝鮮の金正恩総書記が国際的にスポットライトを浴びることが考えられる。というのも、第一次政権時に金総書記と直接対談をしたトランプ氏が、再び金総書記に接触することは間違いないからだ。注目は金正恩が核開発を止めることができるかどうかだが、それがある程度実現すれば、トランプ氏が北朝鮮側に提示するアメリカのバックアップによる北朝鮮の経済開発が動き始めるかもしれない。もちろん、中国やロシアなどは、北朝鮮がアメリカになびくことを阻止しようとすると思われるので、そう簡単には進まないだろうが。 お隣の韓国では、2024年12月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が国内に非常事態を宣言する「特別戒厳」を発表し、国会ですぐに却下されたが、その行動が憲法違反に当たるとして弾劾訴追された。すでに大統領の職務は停止しており、逮捕される可能性も高まっているが、今後、韓国政界が混乱し続ければ、北朝鮮がトランプ氏と接触をすることで朝鮮半島が緊張するだろう。韓国も指をくわえて見ているわけにはいかないからだ。 また韓国の政権交代によって、現在の親日政権から反日政権に変わるという見方が大勢を占める。そうなれば韓国は日本に対する挑発などを激化させるだろう。それによって国民の支持を固めたいと考えるはずだ。