親が認知症になったら銀行に口座凍結されるって本当?「銀行にバレなければ大丈夫」がNGな理由
厚生労働省が2023年4月に公表した資料によると、認知症の有病率は80歳~84歳で22.4%、85歳~89歳で44.3%、90歳以上で64.2%となっています。 ◆【写真全3枚】年齢階級別の認知症有病率は?80歳代の厚生年金の平均受給額も一覧で紹介 高齢化が進む日本では、今後も高齢者が増加すると認知症有病者が増加する可能性があります。 認知症が進行していると、本人であっても銀行口座が凍結され、預金の出し入れに制限がかかることがあります。 本記事では、認知症になった際の銀行の対応や、口座が凍結された場合の対処法について解説します。 記事後半では銀行に届出をせず預金を引き出すリスクについても解説するので、参考にしてみてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
認知症になったら銀行から口座凍結される?
口座名義人が認知症等によって判断能力が低下・喪失している実態を把握したとき、銀行はその預金口座を凍結したり、取引に制限をかけることがあります。これは本人や家族を保護するための措置ですが、実際にはさまざまな不便が生じる可能性があります。 まず、凍結された口座からは基本的に出金ができなくなり、年金や給与の受取口座が凍結された場合、必要な生活費を引き出せなくなる恐れがあります。 特に年金は、多くの高齢者にとって生活の柱となる収入源であり、これが使えなくなると日常生活に大きな支障をきたします。 参考までに、80歳代の厚生年金受給額の平均は15~16万円です。 年金から家賃や光熱費、食費などを捻出している場合には毎月の支払いが滞るリスクが生じ、これが原因でさらなる問題に発展することも考えられるでしょう。 さらに、医療費や介護費用といった大きな出費にも対応できなくなる可能性があります。 認知症の進行に伴い、これらの支出が増加することが想定できますが、突然の医療費の支払いが必要になった際に、口座凍結のために支払いができない事態は避けなければなりません。 ●認知症高齢者の保有資産は約255兆円にも上る 認知症になると資産の取引や管理が難しくなり、生活費や介護費の支払いが困難になる可能性があります。では、認知症の高齢者が保有する資産はどれほどの規模なのでしょうか。 三井住友信託銀行が2022年に行った推計によれば、認知症の高齢者が保有する金融資産は約175兆円、不動産は約80兆円、合わせておよそ255兆円にも上るとされています。この金額は、日本の家計資産全体の約8%強に相当します。 これほどの資産が、認知症の進行により自由に取引や管理ができなくなる可能性があるということです。このため、認知症のリスクを踏まえた早期の資産管理対策が重要です。