親が認知症になったら銀行に口座凍結されるって本当?「銀行にバレなければ大丈夫」がNGな理由
凍結された口座から預金を引き出す方法はある?
認知症になった際に口座が凍結されると、資金の引き出しができなくなり、生活費や介護費の支払いが困難になります。これを解消するためには、成年後見制度を利用するのもひとつの方法です。 成年後見制度は、判断能力が十分でない方々を支援し、保護するために設けられた制度です。この制度には、家庭裁判所を通して後見人を選ぶ法定後見制度と、事前に本人が自ら選んだ代理人を立てる任意後見制度の2種類があります。 すでに判断能力が低下している場合には法定後見制度、判断能力が残っている段階であれば任意後見制度を利用するのが一般的です。 成年後見制度の手続きを完了し、銀行に届出を行うことで、成年後見人や保佐人、補助人、任意後見人が預金の引き出しなどの財産管理を行えるようになります。 しかし、書類の準備や手続きが複雑であるため、親族ではなく弁護士や司法書士が成年後見人として管理を引き受けるケースも少なくありません。 では、銀行が把握する前に親族等が口座名義人に代わって預金を引き出すのは問題ないのでしょうか。 結論から言うと、認知症の本人に代わって銀行手続きを行うことは、たとえ家族であっても問題が生じます。具体的にどのような問題が生じる可能性があるのか、次章で見てみましょう。
銀行に届出をせず預金を引き出すリスクとは
認知症の本人に代わって銀行手続きを行うことは、たとえ家族であっても、相続が発生した際に大きなトラブルの原因となる可能性があります。 たとえば、相続発生時のトラブルが最たる例です。最高裁判所の統計によると、2021年に遺産相続に関して全国の家庭裁判所が取り扱った調停件数は1万3447件となっており、相続時のトラブルは少なくないことが分かります。 本人の同意なく口座を操作すると、他の相続人から不正な資産操作と見なされ、法的なトラブルに発展することがあるほか、遺産分割時に不透明な資産移動が問題視されて、親族間の信頼関係が損なわれる恐れもあるでしょう。 成年後見などの手続きは確かに手間がかかりますが、不正な口座管理を行うと後々大きなトラブルに発展する可能性があります。 相続時などに家族間で争いが生じることを避けるためにも、正規の手続きを行うことが大切です。成年後見制度などを利用して、安心して財産管理ができる体制を整えましょう。