水源涵養活動はゲリラ豪雨による土砂災害を防ぐことにも貢献 里山復元へコカ・コーラ社員と八王子市長が現地入り
東京都八王子市の上川の里特別緑地保全地区(上川の里)は、かつて豊かな緑が残された都内有数の里山だったが、40年ほど人の手が入らなかったことで、現在は老木がうっそうと生い茂っている。 木々の密集度が高いと里山が雨傘のようになり、降水があっても、雨水が里山には蓄えられず外に流れしまい、下草が生えなくなり土壌を保つ機能も低下する。 このように里山が雨水を保つ機能を失うことで、ゲリラ豪雨などが発生した場合、鉄砲水や土砂災害のリスクが高まる。 日本コカ・コーラ(CCJC)とコカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)が八王子市と2023年6月に締結した水資源保全に関する協定は、こうした土砂災害を防止しうるものとなる。
NPO法人・森のライフスタイル研究所の協力を得て水源涵養活動を進める中、社員にも肌身で感じてもらうべく、締結から約1年経った6月21日、上川の里に両社の社員約60人ほか、八王子市の初宿(しやけ)和夫市長と森のライフスタイル研究所の竹垣英信代表理事所長が一堂に会した。 この日は生憎の恵みの雨となり、予定していた間伐・地ごしらえ・枝打ちなどの体験は中止となったものの、参加者が自然への畏敬の念を抱くには十二分だったとみられる。 初宿市長は「大雨になってしまったが、今日はコカ・コーラの社員様から“feel nature(自然を感じる・自然に触れる)”という素晴らしい言葉を教わった」と述べる。
水源涵養活動が国民の生命・財産を守る取り組みにつながるとの考えも示す。 「この里山を涵養していかないと、大雨のときに、川口川、浅川、多摩川の順に八王子の山から都心部に水が流れ溢れてしまう」と危機感を抱く。 村井宏・岩崎勇作「林地の水及び土壌保全機能に関する研究」によると、降雨強度・浸透能(㎜/hr)は裸地79、草地128、森林258とされる。 八王子市としては、かつて農業・林業がなされていた里山の復元を目指していく。 「里山の生業である農業・林業の再生が大きな課題であり、市だけではできないのでコカ・コーラ様にお手伝いいただいている。環境に貢献し企業価値向上に取り組まれている世界的企業のお役になっていることも市民の新しい財産」と語る。