水源涵養活動はゲリラ豪雨による土砂災害を防ぐことにも貢献 里山復元へコカ・コーラ社員と八王子市長が現地入り
一方、コカ・コーラは、製品に使用した水量を自然に還元すべく水源涵養の取り組みを強化している。 コカ・コーラボトラーズジャパン多摩工場(東京都東久留米市)周辺流域の水源涵養率を2024年末までに100%以上に引き上げていく方針を掲げる。 その進捗について、CCJCの田中美代子広報・パブリックアフェアーズ&サスティナビリティ―推進本部副社長は「現在の涵養率は公開していないが、涵養活動は非常に順調に進んでいる。今夏には100%を達成し、恐らく確認できるのが来春」と説明する。
上川の里の指定面積は、東京ドーム敷地面積10倍強の50.9ヘクタール。このうちコカ・コーラの活動地は、水田跡の湿地が広がる1.46ヘクタールの耕作放棄地。 あぜ道であったと思われる通路も崩れてぬかるみ一部は通行困難となっているほか、湿地への雑草の根が激しくはびこり、水源涵養機能の低下と湿地への土砂流出が顕著となっている。湿地内への倒木が多数あることも確認されている。 このような調査結果を踏まえて水資源保全整備計画を策定し、23年11月から里山再生施策を実施している。 間伐を行いつつ、無駄な土砂流出の軽減を目的に伐採した木々を用いて粗朶柵(そださく)を設置。湿地内の倒木や枯損木(こそんぼく)の処理も行っている。
水田利用の再開に向けて、機械を用いて耕耘(こううん)し、水管理のための水路も引いた。 今後は引き続き森林保全と湿地復元に注力していく。 田中副社長は「木々の密集エリアでは伐採して日光が地面に届き降雨が地面に浸透する森林整備を行っていく。湿地復元は、水が一気にではなく、ゆっくりと地下に浸透していくことが大事。このことは、水が土でろ過され、きれいな状態で浸透される有効な手立てとされる。ため池のような機能を持つことで、大雨が降っても鉄砲水を防ぎ洪水の緩和にも一役買うことができる」と説明する。