阪神ドラ1佐藤が示す「対応力」という名のプロ成功条件
プロ野球練習試合の阪神対楽天が16日、沖縄・宜野座で行われ、2-2の引き分けに終わったが、阪神のドラフト1位、佐藤輝明は「三塁・3番」でフル出場を果たして4打数2安打の結果を残した。バットを折りながら特大ファウルを放ち、楽天ベンチを驚愕させたが、バットを少し寝かせて構えるなど、プロ仕様への細かな修正点が見られた。その新人離れした対応力はプロで成功する条件。我慢してレギュラーで起用すべき大器なのかもしれない。
バットを折って特大ファウル
一塁側の楽天ベンチ。 “ポーカーフェイス”石井新監督の表情が一瞬変わったように見えた。一回一死一塁。3番で起用された佐藤がボールワンから楽天の高田が投じたインローのスライダーをフルスイングすると打球はライトポール右のスタンドに飛び込んだのだ。惜しくもファウルとなったが、なんとバットが真っ二つに折れていた。 カウント1-1から高田が、次に選んだのは144キロのストレート。インハイだったが佐藤が捉えた打球は高く舞い上がり風にも乗ってセンター後方へ。バックを続けた武藤がフェンス手前でキャッチしたが、明らかに詰まった打球が、そこまで飛んだ。 ネット裏で取材していた阪神OBで評論家の池田親興氏は、「初めて見たが打席の雰囲気はルーキーではない。風もあったが詰まった当たりがあそこまで飛ぶとは。パワーは申し分なし。バットを折って本塁打にしたことがあるソフトバンクのギータ(柳田)と比較されるが、1年目のギータは、まだ戦力として計算されていなかった。彼と比較される時点で、もう佐藤の存在感が並みのルーキーではないことを示している」と絶賛した。 4回の先頭で迎えた第2打席では結果を出した。 左腕、池田に対してカウント1-0から2球目の138キロのストレートに逆らわない。センター左へ。武藤がダッシュしてスライディングキャッチを試みたがグラブに当たってこぼれた。これも詰まった打球だったがフルスイングしているから、ヒットゾーンに落ちる。 これで実戦で4試合連続安打。 池田氏は「対応力を感じる。タイミングが合っていなくても、大きく崩されることなく振って、結果を出すという点はギータに似た素質かも」という。