阪神ドラ1佐藤が示す「対応力」という名のプロ成功条件
5回二死二塁の得点圏に走者を置いた第3打席は、西口からファーストへのライナー。西口は、佐藤のスイングに怖さを感じたのか、3球すべて変化球だった。 そして、8回一死二塁の4打席目にまた結果につなげる。まるで背中からボールが巻いてくるような変則左腕の渡辺に対して、外の変化球にタイミングを外されながらも片手で対応した。 逆方向へポーンと上がった打球は、レフトが長打を警戒して深い位置を守っていたこともあって、その前にポトリと落ちた。走者の判断ミスで得点に至らず幻の決勝タイムリーとなってしまった。 昨年まで阪神の2軍チーフコーチだった評論家の高代延博氏は、佐藤の変化をチェックしていた。 「少しバットを寝かせて構えていましたね。バットを下から出さず、ヘッドをできるだけインパクトまで最短距離に、しかもレベルに振ることを意識して工夫したのでしょう。打席に入る前の素振りを見ていると、そこでも上から下へダウンスイングをして意識づけをしていました。考えながら野球をやっているのがよくわかります。左投手に対しても、開いたり極端な後ろ重心になったりする問題点も見られませんでした。対応力というか、修正力というか、こういう短期間で、そこまでできるのは、彼がプロで成功するためのセンスを持っている証拠ではないですか。しかし、まだ左足から右足への体重移動がスムーズにできておらず、タイミングのズレを修正できていない点は気になります。バットを折ったファウルも、本当ならフェアゾーンに入れなければならないボールですが、タイミングがずれてバットの先っぽでした。それでも大きく崩されず振れていることで、タイミングがズレてもヒットゾーンにボールが落ちるんですよね」 高代氏の指摘通り、佐藤が構える際のバットの角度が少し変わっていた。池田氏も「初めて見るようないろんなスタイルの投手にも対応できていた」と評価していた。差し込まれても、崩されても結果を出す。 1打席1打席、常に目的意識を持ち、考え、修正を施して対応しようとする部分はプロで成功するための条件を満たしている。