「才能に障害はない」自由な感性で思いのままに描く 障害のあるアーティストの絵画展開幕
「才能に障害はない」―。全国障害者週間(12月3日~9日)にあわせて、障害のあるアーティストの絵画作品展「アート村作品展―才能に障害はない―2025年カレンダー原画展」が3日、東京都港区のイベントスペース「Annex Aoyama」で始まった。障害者の雇用や支援を行うパソナハートフルが主催し、同社の2025年カレンダーに採用された印象的で色鮮やかな絵画約20点の原画が展示・販売されている。 【写真】サインペンで細かく塗り分け、色鮮やかに街並みを描いていた森田守さん 同社はパソナグループで障害者雇用を促進している特例子会社。さまざまな障害をもった人たちが、能力に応じて事務職やパン・お菓子作りなどに従事している。 また、絵を描くことを仕事とする「アーティスト社員」として障害がある22人が在籍。既成概念にとらわれない自由な感性で創作活動を展開している。カレンダー制作や、絵画展での作品販売にあたるほか、行政のポスターやチラシに作品が採用されるなど活躍の場が広がっている。 同社のアーティスト社員で重度の知的障害を持つ森田守さん(34)は、細かな線で下書きをし、何種類ものサインペンで丁寧に色づけしていた。「思いついた色で、思いのまま絵を描く時間が楽しい」と笑顔で話す。 週5日出勤し、就業時間のほぼ全てを作品制作に費やす日々。入社して数年で絵の作風が変わり、線の引き方と色使いに特徴が現れ、才能が開花していったという。 同じく重度の知的障害を持つアーティスト社員の南俊一郎さん(45)は、「能登で地震があったから、応援したくて」と輪島塗を描いた作品の前で、何度も笑顔で繰り返した。 作品展は12月9日まで。「能登半島」をテーマに描かれたチャリティーカレンダーの売上の一部は、能登半島地震の復興支援金として寄付される。(文・写真 鈴木健児)