9人に1人の「乳がん」、知っておきたい「乳房再建手術」について。メリット・デメリット・保険適応など、気になるアレコレ
乳房再建の手術方法、そのメリットとデメリット
━━乳房再建の手術方法にはどんなものがありますか? 大きく分けて自分の体の一部(自家組織)を移植する方法と、シリコン製のインプラント(人工物)を使う方法があります。日帰りで終わるのか終わらないのか、健康保険が適用できるのかできないのかなど、それぞれメリットとデメリットがあり、体型やライフステージによって向き不向きもあるので、医師と相談しながら自分に合う手術法を選ぶといいでしょう。 1.自家組織による再建(健康保険の適用あり) 自分のお腹や背中、太ももから筋肉や脂肪組織を取って胸に移植する。手術時間も長く1~2週間の入院が必要となるが、仕上がりが自然で、術後のメンテナンスが不要になる。 2.シリコンインプラントによる再建(健康保険の適用あり) 乳がんを切除した後に組織拡張器を入れ皮膚や筋肉を伸ばした後、2回目の手術で組織拡張器からシリコンインプラントに入れ替えて乳房を再建する方法。自家組織を移植するよりも入院日数が短く、体への負担が少ないなどのメリットはあるが、自家組織と比較してナチュラルさが少ないこと、インプラントの破損や経年劣化により入れ替えを行う可能性があるなどのデメリットもある。また手術後は定期的な超音波検診が必須となる。稀にインプラントによって悪性リンパ腫が発生する例も。 3. 脂肪注入(健康保険の適用外) お腹や太ももから脂肪を吸引し、遠心分離機で不純物を取り除いてから胸に注入し生着させる。自分の脂肪から培養した幹細胞を混ぜてから注入することも。 日帰り手術で温かく柔らかい乳房が作れ、完成後はメンテナンスもほぼ必要ないことがメリット。半面、注入した脂肪の何割かは吸収されてしまうため希望のボリュームに近づけるには数回に分けて注入する必要がある。また脂肪吸引や注入による合併症の可能性もゼロではない。
ふくらみが戻るだけじゃない、乳首や乳輪も再建できる
━━乳房再建手術は乳輪や乳頭も一緒に作ると思い込んでいましたが、別なんですね。 はい、乳がん切除で乳頭や乳輪を温存できなかった場合は皮弁法や乳頭移植、植皮などで乳輪・乳頭が作れます。これもするかしないかは患者さんのご希望です。お風呂で孫にびっくりされたくないからと再建された女性もいました。医療用アートメイクで皮膚に色を入れ乳輪や乳頭があるように見せる選択肢もあります。