9人に1人の「乳がん」、知っておきたい「乳房再建手術」について。メリット・デメリット・保険適応など、気になるアレコレ
日本女性が生涯にわたり乳がんになる確率は、今や約9人に1人。誰にとっても他人事ではない話。もし、乳がんになり手術することで乳房が変形したり、無くなったとしても手術前の形に近づける「乳房再建手術」という手段があるのを、聞いたことがある人も多いのでは? 【写真】一番辛いのはいつ...?乳がん&子宮頸がんを戦い抜いた経験者たちのリアルな「体験談」 そこで、耳にはするけれど実はよく知らない「乳房再建手術」について、フェムケア・スパ ジャーナリストの惣流マリコさんが、「乳房再建手術」のエキスパート、草野太郎先生にインタビュー。手術に至るまでのプロセスや手術方法、メリット・デメリットについてお話を伺った。
乳房再建はやらなくてもいい手術?
━━乳がん患者さんが乳房再建術に至るまでの一般的な流れを教えてください。 日本では乳がんの診断や治療方針の決定は乳腺外科医が行います。がんの広がり方や大きさによって手術する範囲が決まるのですが、そこで乳房再建の可否を判断した後に患者さんと相談後、われわれ形成外科医との連携がスタートします。つまり再建手術は必ずしも乳がん治療とセットになっていないんです。 ━━できない、しないという選択肢もあるということですね。ちなみに再建手術には健康保険が適用できるそうですが、再建を希望する女性は多いのでしょうか? 厚生労働省のデータを見ると、2020年は91,531人の女性が乳がんと診断されています。翌年2021年に再建された方は7350人なので、決して多い数字ではありませんね。理由は担当医が奨めないことも考えられますし、再建できる状態だったとしても本人が望まなかったということもありえます。 再建手術を行っている身だからこそ言いますが、乳がんになったら最優先すべきは治すことで、乳房再建は『してもしなくてもいいもの』です。自分が乳がんだと分かると殆どの女性は冷静ではいられなくなりますから、勢いで何でもかんでもやってしまうより、まずは治療に集中しいろいろなことが落ち着いてから、あらためて再建するかかを検討していいのではないでしょうか。