【Q&A】「日本学術会議」とは?
Q:どうして拒否問題が起きたの?
学術会議は、戦争への反省から1950年には「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」との声明を出し、その後も同様の考え方を継承しています。 最近では、2015年に始まった軍事技術に応用可能な基礎研究に費用を助成する防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」について、17年3月の声明で「政府による介入が著しく、問題が多い。研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用され、攻撃的な目的のためにも使用されうる」と指摘しました。 一部の研究者からは、菅首相が任命を拒否した理由について、声明への「腹いせではないか」との見方が出ています。
Q:学術会議に関して多くのデマが飛び交ったって本当?
「学術会議のOBは、日本学士院会員となり、終身年金をもらえる」「中国政府の海外人材支援プログラム(千人計画)との関係から、積極的に研究成果が軍事転用される」――といった情報が広く拡散されました。 これらはデマであることが判明し、自民党国会議員らがインターネット上の投稿を訂正、テレビ局の解説委員も発言をめぐって釈明に追われました。 日本学士院は文部科学省の機関で、定員150人の終身制。学士院によると、現会員130人のうち学術会議の会員や元会員は38人(20年10月末現在)と一部に過ぎません。 また、今回任命されなかった6人は人文・社会科学系の研究者です。取材に対し、学術会議は千人計画とは「関係がない」としています。