首相が公務員を取捨選択は「恐ろしいこと」 学術会議任命問題 刑法学者が警鐘
日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を菅義偉(よしひで)首相が任命しなかった問題で、候補だった早稲田大・岡田正則教授(行政法)、立命館大・松宮孝明教授(刑法)ら4人が23日、外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見を開いた。 学術会議問題 任命拒否の早大・岡田教授ら4人が会見(2020年10月23日)
会見で、松宮教授は「官邸は憲法15条1項にある、国民の公務員選定罷免権を根拠にして今回の(任命除外)措置は合法であると説明している」と述べた上で、「これは恐ろしい話だ。『内閣総理大臣は国民を代表しているから、どのような公務員であっても自由に選び、あるいは選ばないということができる。その根拠は憲法15条なのだ』と宣言したということだからだ」と主張した。 松宮教授は「ナチスドイツのヒトラーでさえも全権掌握するには特別の法律を必要としたが、菅は現行憲法を読みかえて、自分がヒトラーのような独裁者になろうとしているのかというくらいこれは恐ろしい話だ」とも語った。
他にも「罪ある」
今回、日本学術会議からの推薦名簿に105人が載っており、うち6人が任命されなかった。松宮教授はこの点についても問題視。「学術会議法7条3項ははっきりと210人の会員のうち3年ごとにその半数を内閣総理大臣が任命すると書いてある。つまり、内閣総理大臣は105人を任命しなければ違法なのは明らか。この問題は首相の違法行為があるということで私から見れば罪という状態になっている」と訴えた。 また「今回の問題をめぐってはいくつかの犯罪が行われている疑いがある」とも言及。「自民党の国会議員が、学術会議が中国と軍事研究を共同しているというデマをツイッターで述べたということだ。これは明らかに犯罪」と述べた。学術会議が首相側に提出した推薦名簿についても、「6人を黒く塗りつぶした書類が見つかっている。このように、公文書を勝手に塗りつぶすのは公文書を破壊する罪に当たる」と加えた。