「活動を正確に伝えたい」 学術会議会長「誤解に基づく意見多く頂戴」
会員候補6人の任命が菅義偉(よしひで)首相の判断で見送られたことで注目されている日本学術会議の梶田隆章会長は29日記者会見し、改めて6人の任命を求めるとともに「この間、学術に関するさまざまな意見や報道を見ておいて、十分に私どもの活動が国民のみなさまに伝わっていないのではと感じている。誤解に基づいた意見も頂戴している。本日はこの場を借りて、国民のみなさまに、学術会議の活動を正確に伝えたい」と語った。 【動画】日本学術会議・梶田会長らが会見
菱田公一副会長は約10億円の年間予算については、「年金をもらえるとか、びっくりする報道が出て、私も驚いた」と言及。「事務の人件費が予算の半分以上を占めている」と説明し、提言などをまとめるための旅費と日当は出るが、旅費は1人当たり年間6万円ほど。ただ予算がなくなっても自主的に集まる人も多く「ボランティアワークに近いのも事実」と述べた。 会員候補になる人について同副会長は、「業績の優れた方が前提」としたうえで、「総会で議決しているもの(会員候補の105人名簿)を総理に推薦を出している」と語り、属人的な推薦ではないと強調。 男女比については女性が37.7%で、過去に比べて女性の比率が上がっていることを強調した。所属大学を地域別にみると、関東地方が50%と多く見えるが、「大学が集中している。(かつての)約70から50に低くなっているとし、その分地方の業績ある方を会員として迎えることができて(いる)」とアピールした。「所属である大学が多いんじゃないかとご指摘もありますが、調べると東大と京大が、業績が多い方が多いのは事実」としつつも、「以前に比べそれぞれ人数は減ってきている」と語った。
首相説明に納得?
会見では、記者から「昨日首相が国会の場で、『会員の出身地、出身大学に偏りがあって、多様性が大事だということを念頭に私が判断した』と発言したことについて。どう受け止めているか。説明に納得しているのか」との質問が出た。 梶田会長は「まず事実としてどうなっているのかまだ私たちの方で整理できていない。なにかしら大きな問題があれば、もちろん将来的には考える可能性はある」と発言。「会員の選考の明確な基準があるのでそれを忘れてはいけない。そのうえで、何かしら明確な問題があるということが分かれば、対応することは考える必要がある」と述べた。