築古物件の火災保険料が上昇し、新規加入も難しくなっている! 9月までに見直しの検討がおすすめ
築古物件の火災保険料率も上昇している
築年数による保険料率の差の強化に関して、当初は築年数が10年未満の建物に対して、築浅割引を適用する会社が多かったのですが、徐々に築年数による保険料率の変更を強化する会社が増えています。 特に、2022年10月の火災保険改定時には、その差を強化した保険会社が目立ちました。 例として、ソニー損保の火災保険の築年数に応じた保険料率区分の変遷を以下に記します。 ■保険始期日が2022年3月20日以前の契約 築年数が10年未満である建物の保険料に対して築浅割引を適用 ■保険始期日が2022年3月21日~2022年9月30日の契約 以下の築年数に応じた保険料率を適用: 築5年未満、築10年未満、築15年未満、築15年以上 ■保険始期日が2022年10月1日以降の契約 以下の築年数に応じた保険料率を適用: 築5年未満、築10年未満、築15年未満、築20年未満、築25年未満、築25年以上 ※出所:ソニー損保ホームページ「築年数に応じた保険料率」 また、損保ジャパンでも築年数に応じたリスクに見合う保険料体系にすべく、2019年1月から築年数別割引を導入。2024年10月の商品改定でも築年数別料率体系の改定を行っており、築浅物件の火災保険料は引き続き割安になるとしています。※出所:損保ジャパン「個人用火災総合保険改定のご案内」
保険会社によって保険料はかなり異なる
築年数が変われば、どの程度、火災保険料に影響を与えるのでしょうか。通販を行っている損害保険会社2社で試算してみました(図表1)。 図表1 築年数が保険料に与える影響を試算(A社とB社比較) <両社の算出条件> 戸建て(木造、H構造)、東京都、保険期間5年、一括払い、保険始期日2024年9月15日、免責金額なし、保険金額:2,000万円(建物)・700万円(家財)、 <両社の補償> 火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、盗難、(給排水設備の事故による)水濡れ、外部からの物体の落下、飛来、衝突等、騒擾等の集団行動または労働争議に伴う暴力行為もしくは破壊行為、地震火災費用保険金(保険金額の5%、上限300万円) A社は築25年以上、B社は築30年以上で、もっとも高い保険料率に達します。それ以上の築年数になると保険料は変わりません。 A社は新築に割安感があり、築25年以上の保険料は新築に対し約3.2倍にもなります。一方、B社は築25年の保険料が新築に比べて約2.4倍、築30年以上でも約2.8倍と、築年数による保険料上昇はA社に比べると穏やかです。 これを見てもわかるように、築年数が保険料に与える影響は大きいと言えますが、保険会社によってもかなり異なります。 なお、火災保険に付帯してしか加入できない「地震保険」は、上記の保険料試算には入れていません。 地震保険には、建築年割引というものがあり、保険の対象となる建物が1981年6月1日以降に新築されたものに適用され、割引率は10%とわずかで、それ以外に築年数を保険料に反映する仕組みが地震保険にはないので、築古物件でもほとんど不利にはならないためです。