築古物件の火災保険料が上昇し、新規加入も難しくなっている! 9月までに見直しの検討がおすすめ
築古物件は2024年の9月までに火災保険の見直しの検討を
火災保険の対象としている建物の築年数が25年に近づいている、あるいはそれ以上の築年数になっていて、保険会社を乗り換えたことがない人は、一度保険会社の見直しを検討したほうがよいでしょう。 特に、残りの保険期間が1~2年の人で、見直しが効果的な場合は2024年9月末までに手続きを終了できるように見直しを進めることをおすすめします。 その理由は、多くの保険会社が2024年10月に火災保険商品の改定を予定しているからです。 火災保険の保険料率に大きな影響を与えている損害保険料率算出機構による参考純率改定の届け出が2023年6月に行われており、地域にもよりますが、火災保険料が大幅に値上げとなるエリアも少なくないでしょう。
火災保険料の見直しはどのように比較すればいい?
火災保険の見直しの際、保険料は以下の3つで比較します。 (1)保険始期日(補償の開始日)を9月中にして、保険期間5年で他の保険会社で新規加入した場合の見積もりを数社で取る (2)自分が現在加入している保険会社で保険始期日を10月1日以降にして保険期間5年で加入した場合も見積もりを取る (3)現在加入している保険の証券を用意する 現在、火災保険の保険期間は最長5年のため、まずは、(1)を行いましょう。地震保険も必要に応じて付帯してください。あわせて(2)を行い、(3)を用意しましょう。 (1)が保険料改定前の見直し案、(2)が今の保険でそのまま10月1日以降に満期更改したとの想定、(3)が現在の保険になります。 1年あたりの保険料で考えると、(3)が3つの中で一番安い可能性は高いです。2022年の改定で保険料が上昇した地域も多く、その前に加入していた契約のほうが有利だからです。 ただ、上記のA社とB社のように、同様の補償内容でも保険料にはかなり差があるため、(1)でもっとも1年あたりの保険料が安い保険会社がみつかるかもしれません。 (3)が一番割安だった場合でも、(2)が大幅に保険料が上がり(1)より高ければ、(1)の見直しメリットと(3)の現在の保険を途中解約することのデメリットを考慮し、総合的に損得を判断しましょう。 (3)の現在の保険を解約した場合は、保険期間の残りはほぼ按分で保険料が返ってきます。 いずれにしても比較は簡単ではないので、複数の保険ショップや訪問型の保険代理店などを利用するのも一つの方法です。 また、ネット損保には割安な会社もあるので、自分で見積もりをネットで取得し、ファイナンシャルプランナーに有料相談するというのも選択肢でしょう。 それでも「火災保険の見直しは面倒だな」と思う方の重い腰を上げるきっかけになるよう、2024年10月以降に改定をむかえると保険料がどうなるかも試算してみました(上記では(2)にあたる)。 条件は、築年数が保険料に与える影響を試算(A社とB社比較)(保険始期日が9月中で上記の見直し方法の説明では(1)にあたる)と同条件です。 図表2 A社の築年別の保険料例:2024年9月30日以前と10月1日以降に加入した場合の比較 結果としては、A社の10月1日以降の築年別の保険料上昇率は7.3%の引き下げから、3.4%の引き上げとバラツキはありますが、築25年以上に厳しくなっています。 また、試算はあくまで特定の条件に基づいた一例であり、実際の保険料は築年の他にも、マンションか戸建てか、建物の地域、保険金額、補償内容により全く異なります。 火災保険に入っている建物の築年が25年に近づいている人は、一度見直しを検討されることをおすすめします。
平野雅章