私が腰痛・坐骨神経痛を自分で完全克服した方法【川口陽海の腰痛改善教室】
腰をほぐすと良くなることに気づく
その当時、20~30年ほど前ですが、もちろんネットはありませんし、腰痛や坐骨神経痛を治すための情報もほとんどないような状況でした。 しかし自分なりにいろいろ工夫するなかで、腰や背中、お尻などの筋肉をほぐすと痛みがかなり軽減することに気づきました。 その当時は、東急ハンズで購入した木球、文字どおりブナ材でできた直径5~6cmの木の球ですが、これを背中や腰やお尻に当ててグリグリとほぐしていたのです。 そうすると、とくに痛気持ちいいポイントがところどころにあり、そこを良くほぐすととても効くことがわかりました。 それは整体やマッサージや鍼などの治療を受けるより、自分にとってははるかに効果があったのです。
なぜ効果があるのかを調べていたところ、専門書で次のような図を発見しました。 『え? これ自分の痛みとまったく一緒じゃん!』 これがトリガーポイント=筋肉の発痛点との出合いでした。 トリガーポイントというのは、筋肉が強く緊張して痛みを生じる筋肉内のしこり状のポイントのことです。筋肉の緊張による痛みなので、ほぐすと痛みがやわらぐのです。 日々トリガーポイントをほぐすようにすることで、日常的な痛みはかなり軽減されました。しかし、それだけで完全に痛みから解放されたわけではありません。
背骨が原因ではなかった!
さらにこの頃、衝撃的な本と出合います。 『サーノ博士のヒーリング・バックペイン:腰痛・肩こりの原因と治療』 ジョン・E.サーノ(著), 長谷川淳史(監修, 読み手), 浅田仁子(翻訳) 春秋社 著者のジョン・E.サーノ氏は、ニューヨーク医科大学臨床リハビリテーション医学科教授、ニューヨーク大学医療センター付属ハワード・A・ラスク・リハビリテーション研究所所属医師などの経歴を持ち、腰痛などの臨床に当たっていました。 この本が米国で最初に出版されたのは、日本で出版された1999年のさらにだいぶ前だったと記憶していますが、その当時に腰痛の原因は背骨ではないという説を提唱し、実際に治療効果をあげて一大センセーションをおこしたそうです。 この本により私は腰痛の原因は背骨ではない可能性があるということを知り、大変に衝撃を受けました。 『今までの治療はいったいなんだったんだ!』 『背骨が原因じゃないのにそこを治療してたから効果が出なかったんだ! そりゃ治るわけないよ!』 そんな怒りともあきらめともつかない気持ちになったことを覚えています。 しかし同時に、 『背骨は原因ではないのなら手術の必要はないし、他に治療手段はたくさんあるのでは?』 という気づきと安心も覚えました。 私も『ずっとヘルニアや痛みを付き合っていかなければならないのか?』と考えていましたので、それだけでとても心が楽になりました。 腰痛の原因は背骨ではない(可能性がある)ということは今ではよく知られていますが、この本が出版されてから日本でも徐々に認知されていったと思います。 またジョン・E.サーノ氏は痛みの原因として、緊張性筋炎症候群(TMS)という説を提唱していることも慧眼です。 緊張性筋炎症候群は学説としては誤りがあると思いますが、先ほどのトリガーポイントに通ずる考え方で、筋肉が原因としている点は本当に鋭いと思います。 そしてこれ以降も、背骨の変形や異常が原因ではないということが医学的なエビデンスとして、さまざまな研究で裏付けられていっています。 この本との出合いが、私の腰痛・坐骨神経痛克服の大きなポイントになったのです。