リファレンス・ロジックツリーとはいったい何か?デジ庁作成「課題分類ツール」の凄さ
「××システム導入事業」「〇〇連携推進事業」「△△費用補助事業」……都道府県や市区町村の基本計画や予算案を見ると、こんな似通った言葉が並んでいます。それぞれのプロジェクトがどのような関係にあるのかが分かりにくく、本当にきちんと全体最適化されているのか疑わしくなるほどです。こうした中、デジタル庁は、役所ごとに打ち出される膨大な施策や事業を目的ごとに整理し、関係性を可視化するためのツールとして「リファレンス・ロジックツリー」を公表しました。このツリーを使うと、さまざまな課題やその関係性を一目で理解することが可能になります。この記事では、リファレンス・ロジックツリーとは何か、どんなメリットがあるのか、実際の作成事例(モビリティ分野)まで、わかりやすく解説します。 【詳細な図や写真】個人の目標設定でもよく使われる「ロジックツリー」(出典:『地方公共団体における地域幸福度(Well-Being)指標活用推進について』 デジタル庁)
リファレンス・ロジックツリーとは何か
ロジックツリーとは、問題解決や意思決定を行う際の思考過程を描き出し、幹から枝に分かれていく樹木(ツリー)のような階層構造で整理して可視化する方法のことです。 個人や企業が何か目標設定をしたり、課題を洗いだしたりするときに、ロジックツリーは便利です。 たとえば「目指すべきゴール」を中心テーマに設定した場合、そのテーマを構成する個別の要素(課題や関係する取り組み)へと段階的に細分化し、ツリー状に図式化していきます。ゴールの達成に向け強化が必要な取り組みを特定したり、各取り組みのゴールへの貢献度などを効果測定したりといったことができます。 デジタル庁が6月に公表した「リファレンス・ロジックツリー」は、このロジックツリーの自治体バージョンといえるものです。 リファレンス・ロジックツリーでは、ツリーが5つの階層で構成されており、第1水準(左)から第5水準(右)にかけて上位目的から、より具体的な施策レベルへと細分化されていきます。 第1水準……政策分野の特定 第2水準……政策のゴール 第3水準……各施策群のアウトカム 第4水準……各施策のアウトプット 第5水準……個別施策名 このように、第1水準~第3水準までが、上位目的を実現する際に考慮すべき基本的な切り口を示しています。第4水準以降は、自治体独自の施策領域や個別施策を検討し、ツリー状に整理し、同時に、第4水準の内容に応じて、第3水準で整理した内容を見直していきます。具体的な施策と目的をつなぐストーリーが自然に(ロジカルに)つながるよう、各水準を整合させることが重要です。