投票率、対ロ・対中外交、参政権……在日外国人が考える、日本の選挙と政治
台湾では蔡英文総統をはじめ、デジタル担当大臣であるオードリー・タン氏(41)など、若く新しい政治家が活躍している。夫婦別姓が進まないことも、世襲の政治家が多いことも台湾人からすると不思議なのだそうだ。 とはいえ「台湾で日本が話題になるのは、まだまだいいことばかりですよ」と張さんは言う。 「この10年ほど、台湾と日本は過去でいちばんいい関係が続いていると思います。日本の政治には、その状態をうまく保ってほしい」 張さんは日本の永住権取得も考えているが、参政権は「別に、いらないかな」とそっけない。 「外国人が自分の国の選挙に投票するのは嫌だと思う人がいるかもしれない。国籍を持っていて、その国の人になっているなら別ですが」 同じ外国人でも、参政権への受け止め方はさまざまなようだ。
「一票」を奪われたミャンマー人が語る「日本の自由」と「共生」
「たった5年間の民主主義でした」 JMCC(日本ミャンマーカルチャーセンター)の所長、マヘーマーさんは言う。軍事政権下で自由も希望も持てず、語学を学んで日本に来たのが27年前。それからミャンマーも少しずつ民主化が進み、2015年には民政移管後初となる総選挙が行われた。マヘーマーさんたち在日ミャンマー人も、在外投票のため北品川にあるミャンマー大使館に出向いた。 「みんなの一票できっと変わるからって、民族衣装を着て投票に参加しました。当時の大使自ら出迎えてくれて、モヒンガー(ミャンマーの国民的な麺料理)まで振る舞われたんです」
まるでお祭りのようだった。それほどに待ち焦がれた「自由な投票」だったのだ。2020年にも選挙が行われ、どちらもアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟が圧勝したものの、2021年2月に軍のクーデターが勃発。ミャンマーの人々はまたしても民主主義と選挙権を奪われた。 それだけに、日本の選挙といえば投票率の低さが気にかかる。 「日本は平和だからですよ。自分が投票に行かないことで、自由や人権を奪われる心配がない」 こうした感じ方はウクライナ人や台湾人に似ているようだ。