「便が緩いかな?」生後4ヶ月の息子に違和感 その後…医師「もう身体が反応しません」容体が急変した理由とは
ゆいとくんを支える家族の思い
ゆいとくんの体調不良は突然のことだったため、めまぐるしく変わる状況に、はじめは理解が追いつかなかった両親。 非典型溶血性尿毒症症候群の発症トリガーは、感染症や妊娠など人によりそれぞれあるそうです。 当時は「あれがいけなかったのか?」「これがいけなかったのか?」と、とにかく適切な治療を受けさせるために原因を突き止めたくて、医師ともありとあらゆる可能性を探る話をしました。 原因がわからない期間も、命が危うい期間も長かったため、前も後ろも右も左もわからないモヤの中のボートに乗っているようなそんな気持ちでいたといい、人生の中で1番断トツでつらい出来事だったと振り返ります。 何をしていても一日中涙が溢れ、どこかに行くとか、何かをすることも出来ない日が続きました。 面会に行く前に寄ったコンビニで、買い物をする杖をついたおじいちゃんを見ただけでも 「ゆいとはもうおじいちゃんになることも出来ないんだね」と、突然ワンワン泣いてしまったこともあったといいます。
2ヶ月ぶりに目覚める
透析を回し始めて2ヶ月以上経ち、状態が落ち着いてきたゆいとくん。医師から人工透析からの離脱と、鎮静から目を覚まさせて、人工呼吸器の抜管を行う説明がありました。 このとき医師からは「脳出血に加えて長期鎮静と長期の挿管のため、一度抜管はしてみるが、自発呼吸ができなければ、そのまま気管切開の手術に入る可能性が高い」と、手術の説明も受けたといいます。 ゆいとくんが抜管の処置中、両親はICUのロビーで待っていました。 その後、看護師さんが「ゆいくん自力で呼吸してますよーっ!!!」と教えてくれたのです。 本当は「患者の説明は医師から」というルールがありましたが、このときばかりは看護師さんもとても嬉しそうに話してくださったといいます。 気管切開の手術はせず、両親は2ヶ月半ぶりに目が覚めたゆいとくんに会うことが出来ました。 医師から「鎮静から覚ます」話があったとき「きゃー!!!!」と声に出して表現したくなるくらい喜んだというゆいとくんの母親。 嬉しさのあまり、ゆいとくんが気に入っていたキャラクターを見せようとコンビニに幼児雑誌を買いに走る姿に医師は不安を感じ「お母さんが想像する目覚めではないと思います。これだけ鎮静していたら首も座らない状態ですし、きっと目で人を追ったり、何かを見て認識したりは出来ないと思います」そう言いました。 しかし、CTの脳画像を見たときにもう「普通の生活」には戻れないことを覚悟していた両親。 「ゆいとがどんな状態であろうと、生きて戻って来てくれたことをたくさんたくさん褒めてあげようと思っていた」と母親は話します。 両親としては、シンプルに目覚めさせられる状態にまで回復できたことに大きな喜びを感じていました。 鎮静が解けたゆいとくんは、鼻から酸素が送られていてとても苦しそうに顔を歪めていたといいます。 元の元気だった頃の見た目とも程遠く、垢まみれで浮腫んでいたが、それでも両親にとってゆいとくんは最高に愛おしく可愛らしく見えました。 焦点の合わない黒目がウニョーン…ウニョーンと泳いでいましたが、母親はそこに、ゆいとくんの強い生命力を感じたといいます。 ゆいとくん自身が「生きる!!!!!」と怒って意思を伝えているように見えた母親。 そしてウニョーンウニョーンと泳ぐ黒目が、時折ジッと止まる様子に「ゆいとは絶対に見えている」と密かに確信していたと話します。