フランスにはなぜ「飲み放題」文化がないのか。“個人主義”のフランス人が、日本の居酒屋に歓喜するワケ
フランス人に「日本には飲み放題のシステムがある」と教えると、驚かれることがよくあります。ワインの産地として知られるフランスですが、日本ではおなじみの「飲み放題」文化が存在しないのです。 【写真を見る】フランスにある「日本風居酒屋」 そのため日本の飲み放題は、フランスでは絶対に味わえない独特の飲食スタイル。実際、フランス在住の筆者もこちらでの飲み放題システムを一度も見かけたことがありません。 今回はその理由を探りながら、フランス人が日本の居酒屋を愛する理由についてご紹介します。
◆フランスに「飲み放題」がない理由
フランスに飲み放題文化がない理由の一つは、法律による規制です。フランスでは未成年の飲酒問題や、泥酔状態でのけんか、トラブルを防ぐため、飲食店で飲み放題を提供することが禁止されています。 もう一つの理由は、フランス人のお酒の飲み方にあります。「酔っぱらうまで飲む」ことが少ないフランスでは、ワインを中心に「ちびちびと飲む」スタイルが一般的。「短時間でたくさん頼むこと」を前提としている日本の飲み放題とは、かなり対照的ですね。 とはいえ、日本の飲み放題システムを嫌うフランス人はほとんどいません。一定料金を払えば、ビールや日本酒、カクテル、ハイボールなどいろいろな種類のお酒を時間内に好きなだけ楽しめます。日頃からお酒をたしなむフランス人にとっては、このシステムは驚きと喜びの連続なのです。
▼コスパの良さ
フランスで外食をすると、それなりの出費を覚悟しなければなりません。アルコールを繰り返し頼んでしまえば、会計も一気に跳ね上がります。それに比べて、日本の飲み放題は驚くほどリーズナブル。フランス人にとってはほとんど「感動もの」だと言えるでしょう。
▼フランスでブームのお酒も楽しめる
さらに、日本酒や梅酒といった日本ならではのお酒は、フランスでは“高級品”として販売されています。こうした日本のお酒を存分に楽しもうと、中には「時間ギリギリ」まで粘るフランス人も。筆者がフランス人と日本旅館を訪れた際には、飲み放題サービスに皆が感激し、クローズ時間直前まで楽しんでいました(旅館は時間制限を設けていませんでした)。