「麻布台」一度は行きたい絶品店~古い住宅街が最新タウンに
都心に“ヒルズ”続々!「東京を世界一の都市にする」森ビル独自の戦略
2023年、東京・港区の地下鉄日比谷線の神谷町駅にできた「麻布台ヒルズ」。地上64階のタワー棟は東京タワーとほぼ同じ高さの約330メートルで日本一となった。 【動画「麻布台」一度は行きたい絶品店 最も高額な住宅は200億円とも報じられたが、神谷町駅直結の地下街「麻布台ヒルズガーデンプラザ」には、日常使いできるさまざまな店がある。 人だかりができているのはコーヒショップ「アラビカ東京」。世界で195店舗を展開する店だが、東京には初出店。1000種類以上から厳選した豆を店内で焙煎し、一杯ずつ丁寧に入れてくれる。 緑豊かなレストラン「Sta.麻布台」は健康的な手作りの味にこだわる創作家庭料理の店。管理栄養士が常駐し、マヨネーズやドレッシングまで手作りで提供している。 「ラベイユ麻布台ヒルズ」は世界から集めた80種類以上の味を取り揃える蜂蜜専門店。客が見つけたのは、スーパーフードとして話題のカカオニブを漬け込んだ蜂蜜。店内にはプレミアム蜂蜜セラーもあり、レアな蜂蜜を試食することもできる。 以前、ここは古い住宅が密集していたエリアだった。森ビルが住民と地道な交渉を続け、約35年をかけて巨大な再開発を実現した。 森ビルが都心で行う巨大開発の大半は港区に集中している。「六本木ヒルズ」「麻布台ヒルズ」、さらに「虎ノ門ヒルズ」。賃料収入をメインとした年商は3600億円を超えた。
森ビルの勝ち残る街づくり1~自前で作り、こだわり抜く
「麻布台ヒルズマーケット」には日本屈指の名店が集結している。 例えば日本一のマグロの仲卸として知られる「やま幸」の「麻布台やま幸鮮魚店」。 一般客向けには初めての出店だという。寿司の名店でしか味わえないマグロを買うことができる。 兵庫・芦屋市から東京に初出店したのはハムやベーコンなど食肉加工品の人気店「クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン」だ。 茨城からは地元で親しまれる絶品のぬか漬け店「菜香や」。使うのは精米したての生の米ぬか。食材本来の甘みを引き出せるため、アボカドからリンゴまでさまざまな味わいのぬか漬けが楽しめる。 こうした日本中の名店が34も集まったオンリーワンのマーケット。全て森ビルが一軒一軒誘致したという。 「世界に誇れるマーケットに育て上げていきたいという思いがあり、どこかにお願いするよりも森ビルがチャレンジしたほうがいいと考えました」(麻布台ヒルズマーケット運営室室長・大柿隆) 麻布台ヒルズマーケット運営室の塚本雅則は日本中の名店を口説いて回った。 「『この味を家庭で食べられたら最高。山口社長しかいない』と」(塚本) 寿司の名店なら誰もが知る豊洲の「やま幸グループ」代表・山口幸隆さん。今まで控えてきた他への出店を決めた理由は、日本の最高の食文化を発信し、さまざまな食育の場を作りたいという森ビルの提案だった。 「昔は魚のことは魚屋でプロと会話して食育ができていたのが、ここ何十年かを振り返るとその環境がなくなってきている。森ビルさんの食に対する取り組みはすばらしく、森ビルさんとの出会いがなければやらなかったと思います」(山口さん) 芦屋市のシャルキュトリ「メツゲライクスダ」代表・楠田裕彦さんも、手作りにこだわり、他県への出店を断ってきた。出店を決めた理由は、森ビルから見せられたある施設だったという。 「巨大なジオラマが出てきたんです。圧倒感があるプレゼンテーションに『すごいな』と」(楠田さん) それは「森ビルアーバンラボ」にある精密に作られた東京の巨大模型。小さな建物の一つ一つまで作り込まれている。