「麻布台」一度は行きたい絶品店~古い住宅街が最新タウンに
「東京の1000分の1のスケールで作った模型です」と言うのは森ビル社長・辻慎吾(※辻の字は一点しんにょう)だ。 「東京をちゃんと説明したうえで、『虎ノ門ヒルズ』はどうだ、『麻布台ヒルズ』はどうだとプレゼンテーションしたいと思って、この部屋を作りました。最初は港区のエリアの模型を作って『ここはやはり再開発したほうがいいよね』と見ていた」(辻) 東京の巨大模型の最大の狙いは、隣にあるマンハッタンの模型にあった。 「『東京』と同じスケールです。これを見ると、東京とは大きさが全然違う」(辻) ここは東京を世界の都市と比較するために作った施設なのだ。他にもあらゆるデータを揃え、東京の強みと弱みを研究してきた。 「世界は都市間で競争している。勝つためにはグローバルで活躍している人たちが東京を選ばないといけない。選んでもらうためにはどうすればいいのか」(辻)
森ビルの勝ち残る街づくり2~コンセプトを決め、街を磨く
森ビルの開発には、それぞれ東京に足りない要素を補うためのコンセプトが決められている。例えば、最上階に美術館を持つ『六本木ヒルズ』は文化や芸術を生み出す街。『麻布台ヒルズ』は豊かな緑と食で健康的に暮らせる街、といった具合だ。 豊かな緑と食で健康的に暮らせる街を実現すべく、『麻布台ヒルズマーケットラボ』では、健康的でおいしい弁当を作ろうと、店の料理人などが集まっていた。試した食材はマーケットの名店から持ち寄った絶品ばかり。名店が集まっている『麻布台ヒルズ』だからこそできるコラボだ。 「それぞれ自分の得意技を披露しているのですが、それを持ち寄って一つの形にするのはなかなか出会えないです」(『鳥藤』社長・鈴木昌樹さん) 「麻布台ヒルズ」の豊かな緑の中には畑まである。育っていたのはみずみずしいナスやキュウリだ。「ぬか漬けにぴったり」と語るのは「麻布台ヒルズ」に出店している「菜香や」代表・遠藤記生さん。収穫した野菜でぬか漬けを体験するワークショップを準備している。 「まさか街のど真ん中に畑があるなんて、びっくりしました。森ビルさんとコラボできるのはこの畑があるからこそです」(遠藤さん) 「麻布台ヒルズ」の最初の夏野菜が東京の新たな風を受け、育っている。 夕暮れ時には周辺でナイキと組んだランニングイベントも行われていた。 森ビル独自の東京の価値を上げるための街づくりでは、驚くようなことも実現している。 「国際的なビジネスの拠点」がコンセプトの『虎ノ門ヒルズ』。 上から覗くとビルの下へ車が走っていく。新たに作られた環状2号線の道路の上を利用してビルの開発を行ったのだ。さらに日比谷線では56年ぶりとなる新たな駅を作った。 「虎ノ門ヒルズ駅の改札を出るとすぐ地下の駅前広場につながっています」(都市開発本部・加藤昌樹) こうして地下鉄と道路が交わるビジネスマンには最高の拠点が完成した。 単にビルを作るだけではない。東京を世界に勝てる都市にするのが森ビルの戦いだ。