モスフードサービスの「モスライスバーガー」はあの和食をヒントにつくられていた
アジアの国々でモスライスバーガーが人気
私は調理師免許を持っていて、調理の仕事もしていたんですが、商品開発の仕事もやってみたいと'91年に入社しました。ハンバーガーの開発から、モスライスバーガーの開発まで、幅広く携わってきました。 モスライスバーガーの開発は、醤油や味噌など和の味がベースになる難しさがありますね。その中で商品の価値観をいかに出すか、です。 当初は店舗勤務でしたが、「モスライスバーガー焼肉」が大ヒットしていた時代。1日200個作ったこともあります。今はライスバーガーの構成費は日本では1割を切っていますが、実は大きな人気を得ているのが、アジアの国々です。 例えば、台湾ではライスバーガーの構成比が約2割あります。モスライスバーガーのユニークさもウケて、今や約300店を展開しています。 '91年に進出した当時は、台湾には生野菜を食べる文化は根付いていませんでしたが、モスのハンバーガーの生野菜は受け入れられた。さらにモスライスバーガーの人気が高まり種類が増えていきました。今や現地のハンバーガーチェーンでマクドナルドに次いで2位の店舗数です。 シンガポール、香港、韓国、タイ、フィリピンにも店舗がありますが、総じてライスバーガーは人気です。日本でも元祖としてなくてはならない商品ですが、海外では日本以上にキーの商品になっているんです。 '23年8月、オンラインでモスライスバーガーの専門店を立ち上げました。懐かしいあの味が食べたい、という声もたくさんもらっていましたし、「モスといえばライスバーガー」というイメージで捉えてくださっている方も多い。もっと多くの人々に食べていただけるよう、オンラインでオープンしました。 きんぴらなど長く受け継がれる復刻の味から、魯肉飯やガバオなど、世界のモスで親しまれているメニュー、さらにはオリジナルのチーズ焼肉やエビチリも展開しています。レンジで温めるだけで簡単にご自宅で食べられるようになっています。 モスバーガーが世に送り出したライスバーガーですが、ちょっとボリュームは違うものの、今やいろんな流通で見かけるようになりました。 ライスバーガーというカテゴリーでは、モス以外でも食べることはできますが、やはり私たちは元祖でもあるので、ライスバーガーの価値をどうやって上げていくのか、ずっと考えていかないといけないと思っています。 日本発の世界初の商品。まだまだできることはあると考えているんです。
上阪 徹(ブックライター)