モスフードサービスの「モスライスバーガー」はあの和食をヒントにつくられていた
面白いものを打ち出す会社というイメージ
その後、きんぴら、焼肉、えび竜田などラインナップが展開されていきますが、モスライスバーガーの発売は、かなりセンセーショナルだったと思います。 モスバーガーの知名度を上げることにもなったし、面白いものを打ち出す会社というイメージも作り出してくれたのではないかと思います。 現在の定番品は焼肉と海鮮かきあげ。焼肉はお客さまの約7割が男性。'90年の発売ですが、開発にあたってはいろんな焼肉屋さんに食べに行って、タレをどんな味にするか検討したそうです。 焼肉は、肉の部位とタレの味で決まってしまいますから、モスライスバーガーとしてどんな味がいいのか、ライスプレートのご飯に合うオリジナルなタレづくりは徹底的に議論したようです。 肉は、アメリカ産の牛バラ肉を使っています。部位で言うと牛丼チェーン店と同じですが、ここがやっぱり食べて一番おいしいと私も思います。柔らかいし、赤身と脂の比率がちょうどいい。あの部位だからこそ、「モスライスバーガー焼肉」は最もおいしく食べられるんです。 海鮮かきあげは約6割が女性。'20年の発売当初は醤油だれでしたが、塩だれに変わっています。醤油だれは出汁が効いた天丼のような味だったんですが、おいしかったものの、ちょっとくどいかな、という思いがあったんですね。 揚げ物だからこそ、ちょっとさっぱり食べてもらったほうがいいのでは、と発売からしばらくして塩だれに変わりました。 かきあげ自体も、実はオリジナルな作り方をしています。通常の天ぷらは小麦粉を溶いたものを固めて揚げているんですが、当社の海鮮かきあげは粉で固めているんです。唐揚げのようなイメージです。 できるだけ、さっぱり食べてもらうためのノウハウを考えたんですね。小麦粉を溶いたものだと油を吸いますが、このやり方だとそれも最小限になる。 こんなふうに揚げ物ですが、比較的さっぱりと食べていただけることが、女性人気につながっているのだと思います。